役職定年を迎え、「ただの人」になった中高年は何かと自分を見つめ直します。今までのイケイケのままでよいのか、それとも芸風を変えて、これから長く続く会社での晩秋を過ごすのか、当面は手探りの日々が続きます。
自分の若かった頃を思い出すと会社の中に「好きだったおじさん」と「キライだったおじさん」が歴然と分かれて存在していました。ほとんどが、大して「存在を意識しなかったおじさん」でしたが。
キライといっても所詮会社でのことですので、正しくは「忌避していた」だけで、憎んでいた訳ではありません。分かっていることを何度も聞いてくる「面倒くさいおじさん」と、何だかんだ言って自分では何もしない「ズルイおじさん」、私が避け、逃げていたのはこういう人たちでした。
果たして早期退職をする前に自らがそんな人になっていなかったか、胸に手を当てるとしばらく沈黙が流れます。ごめんなさい、今更ですが、謝ります。
さて、ご存知の方も多いと思いますが、昨年(2021年)の11月に人事コンサルティング業のフォー・ノーツ株式会社が行った「50代社員に関する意識調査」のアンケート結果がプレスリリースされました。
※フォー・ノーツ株式会社 https://www.fournotes.co.jp/
※「50代社員に関する意識調査」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000073219.html
「50代社員は、若い世代からどう思われているのか?どこがズレているのか?」とサブタイトルが付けられたこの調査は多くのメディアでも紹介されています。
そうなのです。相手がどう思っているかだけでなく、自己イメージとのギャップ、ズレを明らかにした点で、この調査は大変に50代、20代~40代の双方にとって、とても興味深いものとなっているのです。隣に座るおじさんや、ZOOM越しに見る若者は、実はこんなことを考えていたのです。
詳しくは調査結果のページを参照していただくととして、先ずは「結果分析のポイント」を引用します。
●20~40代社員は、概して50代自身の自己評価よりも50代社員を評価しており、期待もしている。
※フォー・ノーツ株式会社「50代社員に関する意識調査」
●「デジタルツールに対応できない」「周囲への配慮に欠けた振る舞いをする」などの項目について、20~40代社員に比べ、50代社員の方が課題と感じている割合が低く、世代間の課題認識にギャップがみられる。
●「新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組む」ことに関して、20~40代社員は、50代社員にその能力があると評価し、期待もしている。一方、50代社員自身は、その能力が低いと自己を評価し、新しいことに取り組む意欲も低い。
●50代社員の給与水準に関して、仕事の成果と比べて「低いと思う」50代社員は、20~40代社員に比べ3割近く多く、世代間の認識にギャップがみられる。
この調査は、①20代~40代のオフィスワーカー(身近に50代の社員が働いている方:各年代100名×3) ②50代のオフィスワーカー(身近に20代~40代の社員が働いている方:100名)の計400名を対象に行われました。
選択肢を選ぶスタイルのアンケートからは、「かなり自己評価が低い50代」に対して「結構に期待している20代~40代」というある意味「意外なズレ」が判明した結果になっています。皆さん、自信を持ちましょう。職場の仲間はあなたを十分に大切に思っていますよ!
一方で、期待されているというのは「期待に応えられなかった場合は失望する」ということでもあるので、やはり芸風を変えて、「謙虚に会社と組織に貢献する、周囲の人の気持ちを配慮する、新しいことに自らチャレンジする」という50代、即ち「50代3.0」くらいになって仕事に臨まねばなりません。
本当に50代は変わることができたのか、周囲の若手が認めるパフォーマンスを出せたのか、この調査から1年後に、同じ対象者に同じ内容のアンケート調査をしていただきたいとも思います。
但し、肝心の給料に関しては、50代の方が自己評価が高い(もっと給料が高くてもよい!)となっているのが、やはり「思ったとおりにズレてる」感じがします。
何となく安心した後でなんですが、「Q7.あなたの職場にいる身近な50代の社員に対して、普段感じていることを自由にお答えください。(自由記述)」とされている部分では、結構に辛辣な回答も多いのです。各年代毎の回答結果(抜粋)が発表されていますが、その中から、恐らく50代社員の(年下)上司にあたるであろう40代のものを引用します。
40代
※フォー・ノーツ株式会社「50代社員に関する意識調査」
【ポジティブな意見】
・昔の50代と比較したら、体力もあるし、若いと思う。
・パワフルで経験値が高い。
・いざという時に頼りになる存在
【ネガティブな意見】
・会社全体が人材教育に課題がある。年配者も我流で仕事をしてきており、何が正解かわからない。
・ゴールが見えて、モチベーションや熱い思いに欠けている
・新しいことにたいする意欲的なチャレンジ精神が高まらない
・年功序列で出世しただけで、特にスキルも無く、管理能力があると勘違いしている人が多いです。
・パソコンなどでわからないことが多い気がするので、自分でも少し勉強してみてはと思うことがある
・とにかく頭が凝り固まっていて、偏見や差別がひどい。 そしてこのコロナ禍でも夜な夜な飲み歩き、飲みニケーションをまだやっていて迷惑
・人によって能力の差が激しい
・経験豊富で頼りになるが、新しいことへの取り組みにもう少し積極的になってほしい
よく見てらっしゃる、て感じですかね。
自分の立場、思いだけでなく、会社の考え、若い社員の考えや感情をきちんと理解し、適切な振る舞いができる、そんなナイスな中高年、そして老人になりたいものです。老人? だって、もうすぐみんな70歳まで働くんですよ。
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「中高年の不都合な真実」、「中高年の不確実な未来」、ともに「中高年の不実」なのですが、どちらもテーマとして面白そうなので、これから、適当に順不同、混ぜこぜにして書いていきたいと思います。行き当たりばったりですねぇ。