大して親しくもないけれど、まったく知らないって訳じゃない。こういう人としばらくの時間を一緒に過ごすのが、昔は息苦しかったのです。「昔は」というか、ついこの間までそうでした。どうにも子供の頃から、司会みたいなことをしないと気が済まない質で、とにかく「沈黙」が苦手だったのです。それで、ついサービス精神を発揮して、何の役にも立たないことを喋ってしまっていたのです。
「いい天気ですね」とか「あっという間に1年の1/3も終わってしまいますね」とか「佐々木投手の完全試合、凄かったですね」とかとか。サービス精神の押売りです。これ、相手も鬱陶しいでしょうし、自分自身でも相当にダメージを覚えるのです。大体が話は大して盛り上がらずに終わるのですが、相手に取り入ろうとして失敗した人みたいな敗北感、失敗感で、目の間に半透明の幕が下りてきます。(別の病気か?)。
去年の4月に再就職した勤め先でもこの調子でやっていたら、いよいよ疲れてしまったのです。誰のせいでもなく「自滅」です。四球を連発した挙句、ワイルドピッチでランナーを進め、打ち取ったハズのピッチャーゴロでホームに悪送球をしてしまうピッチャーの様です。よく西武ライオンズの試合で目にする光景です。しっかりしてよ、本当にさ!
それで、会話したいと本当に思えるとき以外は「サービス精神」の発動を止めてみたのです。すると「何も起きなかった」一方で、私自身はとても「楽な気分」になったのです。今更、そんなことに気付くなよ、このじじい! ですよね。多分、周囲のみんなも楽になったのです。久し振りによいことをしました。
若い頃はあんなに頑張って、自己犠牲すら顧みずに「サービス精神」を振りまいていた私ですが、そろそろ年貢の納め時です。だって、「しない方が楽」に思える様になってしまったのですから。それに「サービス精神」といっても多少は「自分を認めてもらいたい」「自分をよく思って欲しい」という下心があってのことですが、私はもはやそんなものとは無縁の生き方をしているのです。
言葉の遊びですが、「サービス精神:行為者による一方的な気遣い」から、「ホスピタリティ:人の心を思いやって、必要とされるときにさりげなく相手に手を差し伸べる」ことに、モードチェンジができたらよいなと思うのです。そう、一流ホテルで体験することができる快適さの様にです。
高級ホテルに求めれる「5つのおもてなしポイント」というのがあるのだそうです。
●Only:「あなただけ」と顧客が優越感をもってもらえる様なおもてなし
●Option:さりげなく、顧客の気持ちを先回りした「一歩踏み込んだ」おもてなし
●Nature:「自然で、顧客がリラックスできる」おもてなし
●Amazing:「さすが」と顧客が感心するような「細部まで気を使った」おもてなし
●Share:「ホテル全体で顧客の要望を共有して対応する」おもてなし
※出典:Precious.jp 高級ホテルの正しい選び方は「おもてなしの5ポイント」にあり!(2018.3)
誰にでもというのは有り得ませんが、大切に私が思う人にはこんな風に接することができたら、とても幸せなことです。先ずは、焼き鳥が盛られた皿の隅に七味唐辛子の小さな山を作ることから始めることにしましょう。えっと、これは「Option」ですかね。
自滅を回避して、無理をせずにできることに少しづつモードチェンジをする。これいいな。段々に進めていくことにしましょう。きっと何年かするとすっかり別人28号、なんちゃって。