この年になっても毎日何かしら驚かされることがあります。例えば、我家の家庭菜園で発芽したズッキーニはキュウリではなくカボチャの仲間だったとか、エコキュートって電気給湯機のことだったとか。世界は驚きで満ちているのか、私が驚く程に無知なのか、いずれにせよ、まだまだ退屈しない毎日です。

私はスポーツのLIVE中継が大好きなのですが、その魅力は、そこに予想もしなかった「驚き」が満ちているからなのです。「野球は筋書きの無いドラマである」(三原脩監督)、正にそのとおりです。こんな面白いものを自宅でビールを飲みながら見れるなんて、それだけで天国にいるというものです。随分と安上がりの天国です。

当たり前のことですが、定年退職だったり、早期退職だったりをして「現役」を終えた後の世界というのは、誰にとっても「はじめてみる景色」なのです。最初は新鮮で驚きに満ちて「第二の人生バンザイ」などと言っている訳ですが、3ヶ月もしない中に「もう図書館通いもうんざりだよ」などと奥さんにぼやく羽目になるのです。もともとそんなに勉強が好きじゃなかった「あなた」が急に『学究の徒』と化す訳はないのです。毎日旅行に出かけることもできませんし、「驚きに満ちた日々」を取り戻すためにはどうしたものでしょうか。

日本総研さんによる「東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査」(2022.2)結果をのぞいて、みんなの「生活の実態」を知って、「そこに驚きはあるのか?」を考えてみます。アンケートは[民間企業かつ東京都内のオフィスに勤務し、東京圏に所在する四年制の大学あるいは大学院を卒業した、いわゆる高学歴の中高年男性45~64歳を対象]としたものだそうです。

<主な調査結果>
♪希望する再就職先は、東京圏所在の中小企業・NPO等で、職種では一般事務・サポートが最も多い

大丈夫です。再就職は「驚き」でいっぱいです。まぁ、「好ましい驚き」はほとんどありませんけどね。打ち砕かれたり、落胆したり、そんな種類のものが多い感じです。そもそも「一般事務職」なんて求人は殆ど存在しないことにびっくりします。

♪家や職場を除いた場での人間関係の交流は少ない傾向がみられる
・定期的に人と交流するために行く場所(家と職場は除く)がない男性は66.1%である。
・「自分よりも年齢が10歳以上若い友人の数」、「悩み事を相談できる友人の数」、「SNS等でやりとりする友人の数」では、0人が最も多く、いずれも約4割~5割である。

ううむ、「人間関係の交流」自体が希薄なので、どうやらそこに「驚き」は期待できそうもありません。数少ない「たまに会う友人」との会話だって、その中身ときたら「お互い、変わらないねぇ」ですからね。今更新しい友達を作るといってもねぇ…

♪男性が行う家事の割合は「全体の20%未満」が最も多い
・男性が行う家事分担の割合は、「全体の20%未満」(65.9%)が最も多い。
・毎日行っている家事として最も多いのが「食器・調理器洗い」(23.1%)であり、やったことがない家事として最も多いのが「アイロンがけ」(66.3%)である。

そこだ! 中高年男性が「驚き」を発見できそうな最後の聖地、未踏の大地は「家事」にありそうです。だって、やってないんだもの。家事は因数分解すると「料理、裁縫、育児、洗濯、清掃、生活用品の購入、家計の切盛り」といったものになります。取り敢えずは「料理」「清掃」あたりからスタートでしょうか。料理教室に通った男性によると「料理を習ったことで食分野全般に興味を持つようになり、生活の幅が広がった」とのことです。 先ずは「おつまみ」から作り始めますか。

6月から再び週に3日程度の出勤ペースに戻り、10日程が過ぎました。イレギュラーで満員電車に揺られて毎日職場に通った「5月」は本当にしんどかったのです。「何言ってんだよ、みんな、毎日会社行ってんだよ、コロナも終わっちゃったしさ…」などとお怒りの諸兄もおられるかと思いますが、そこはご勘弁をお願いします。それで、少し余裕を取り戻すと、世の中、いろいろな驚きや不思議に満ちていることに改めて気付くのです。あーよかった、これまで「モノを知らない」無知のおじさんで。知らないことがいっぱい世の中には残っていますから。

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