「気楽に生きたいものの少しでも有利な条件で働きたい」なんて戯けたことを退職者は考えている訳です。するとどうしても気になるのが「社会保険完備」というキラキラして、眩し気な言葉です。
FP3級なんていう「就活前の大学生が片手間に取る資格」を持っている私ではありますが、既に勉強した内容をすべて忘れているので、改めて「社会保険完備」のことを整理してみたいと思います。これは私のための備忘メモの様なものなので、書かれていることの正誤には一切の責任は持てません。ホント?と思ったら、立派な人のちゃんとしたサイトで必ず確認して下さいね。ちなみに今回のエントリ、だらだらと長いです。
先ず、今回のエントリにおける私の立ち位置を定めます。①60歳を過ぎていて年金受給は65歳開始を予定している ②「社会保険完備」の有無で生じる差異/影響を知りたい(現在、将来) ③最も自分に適した「働き方」モデルを見つけたい こんなところから探索の開始です。
<社会保険完備>
略して「社保完備」などと言われるものは、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険に加入できることを指します。ざっくりと言うならば、本来「個人」が支払わなければならないお金(一部)を雇用主が払ってくれるということですね。
非正規労働者も「社保完備」の条件で働くことは可能で、多くのシニア向け求人も「非正規だけど、社保完備だから安心だよ」となっています。但し、労災保険以外の健康保険、厚生年金保険、雇用保険は加入条件を満たす必要があるので、「社保完備」(条件あり)なんて記載がある求人の際には確認が必要です。
楽に働こうとして「週の労働時間が20時間に満たない」なんて場合には、加入条件を満たさないことになります。
<1>雇用保険
労働者が失業した際に、国が「しばらくの間」保険給付金を支給して、失業者を助けてあげます!という保険です。よく失業者や退職者がハロワに顔を出して、もらっているアレです。一般の事業の場合、対象となる賃金部分に9.5/1000の料率を掛けたものを毎月保険料としてお国に納めています。「9.5/1000」は労働者が3/1000で、雇用主が6.5/1000で負担をしています。ありがたや。
それでシミュレーションです。①年齢:60歳~64歳 ②最長の給付期間:150日(加入期間20年以上) ③離職前6ヶ月の対象賃金総額:200万円 とすると、総額で75万円程度がいただける様子です。ひと月15万円を支給するから、早く次の仕事を見つけてねという訳です。足りなければ少しはバイトをしてもいいよ、なんてルールもあったりします。
※シミュレーションは「雇用保険の給付額(失業給付金)の計算 – 高精度計算サイト」でやりました。このサイト、いろんなものが計算できて、本当に便利です。
自営業(フリーランス、個人事業主など)はこれに入れないので、自分の商売をやーめたと言っても、保険の支給は受けられません。当たり前か。
<2>労災保険
労災保険は、雇用人数や日数、雇用形態に拘らず、労働者を1人でも雇用している事業所は加入が義務付けられているものなので、個人間での「仕事お手伝い」なんてケースでなければ、労働者はこれに加入していることになります。
保険料は雇用主が全額負担(ありがたや)で、「労災保険料 = 前年度1年間の全従業員の賃金総額 × 労災保険料率」の納付が必要になります。保険料率は業種・業態によって細かく既定されています。自営業(フリーランス、個人事業主など)は労災保険には加入できませんが、「特別加入」という救済策があって、「仕事の性質上、体を負傷しやすいと考えられる」林業や運送業(個人タクシーなど)といった仕事に従事いしているケースでは保険料を支払って、加入をすることができます。
これとは別に民間での「休業補償」保険というものがあって、自営業者でも保険料を支払うと加入でき、就業不能になった際にはひと月10万円程度~の給付を受けられます。但し、これ、多くの会社で契約できる年齢上限が「60歳」なんですよね。私は本当にギリギリです。ちなみにこれも保険会社のサイトでシミュレーションすると、月10万円の給付コースで保険料は月3,300円となり、保険払い込み期間は70歳までとなりました。70歳までの保険料支払い合計は約40万か、さて、どうしたものでしょう。
<3>健康保険
我が国には世界に誇る「国民皆保険制度」があり、全ての国民が何らかの公的医療保険に加入せねばなりません。会社員は勤め先の会社を通じて、社会保険(健康保険)に加入しますが、自営業(フリーランス、個人事業主など)は、自ら国民健康保険に加入し、保険料を納付せねばなりません。健康保険料と厚生年金保険料については、定められた料率で算出された保険料を会社が50%負担する仕組みになっています。こりゃまた「社保完備」、ありがたや。
年収400万円/夫婦二人で、本当にざっくり計算すると会社員だと年間約23万円、自営業だと47万円。ずっと会社勤めで、会社負担+給料からの控除だったので実感がありませんでしたが、健康保険って高かったんですね。
※シミュレーションは「税金・社会保障教育 各種シミュレーションサイト」でやりました。このサイト、今回のエントリを書いていて見つけたのですが、「かゆいところに手が届く」便利なサイトでした。これから頻繁に使わせていただきます。
<4>厚生年金保険
日本には二つの公的年金があって、国民年金(基礎年金)と厚生年金。国民年金は20歳から60歳になるまでの間加入しますが、厚生年金は「企業で働いている期間(70歳未満まで)」加入することになります。この関係は所謂「二階建ての年金」ということになります。
国民年金は収入の多寡に関わらず一律で一人当たり月額16,590円(R5年4月からは月額16,520円)を納付します。
厚生年金は準報酬月額や標準賞与額を算出し、その値に保険料率(18.3%)を掛けたものを会社と折半します。シミュレーションすると、年収400万円とした場合に従業員の納付は月額31,110円だそうです。
60歳以降で年金をもらいながらも働いて、厚生年金を納付し続けると然るべきタイミングで「年金額」にこの分が反映されることになります。60歳を過ぎてからの厚生年金加算分など、それ程に大きくはありませんが、それでも増える分にはウレシイ訳です。
また、私のように「就職してから年金支払い」を始めた世代の人は基礎年金の支払い期間が満期(12×40年間=480ヶ月)に足りていないのです。これ、65歳から満額支給を望むのであれば、不足分を納付する必要がある(国民年金任意加入制度)のですが、働いて厚生年金を納付していると、この期間、不足分を納付したのと同じ効果を年金受給時に施してもらえるのです。(一応、未納は未納という扱いらしい)
私は480ヶ月に該当する納付期間までは、まだ結構あったりするので、まだしばらくは厚生年金に加入していたいなと思ったりしています。
<働き方モデル>
【社会保険完備の企業で働く】
これが一番「安心」なのですが「週20時間以上勤務」というのが最低でも必要な条件なので、一日5時間勤務で4日程は働かなければなりません。お昼に休憩時間があるので、9時に出社して15時まで拘束されるということになります。
感じ方は人によって様々ですが、これは果たして「セミリタイア」なのかということにもなりかねません。うっかりすると「仕事」が生活の中心になってしまいます。セミリタイアではなく、しっかりとした「再就職」ですよね、それって。
【バイト】
それ程に収入を望まないので「そんなに働きたくはない」となれば、「社保完備」は諦めて、「社保なし」(労災のみ)のバイトで働くということになります。この場合はそもそも収入が少ない上に、健康保険が国保になって個人の負担が大きくなり、仕事を辞めても失業保険が出ないといったリスクを甘んじて受け入れなければなりません。
仕事内容も年寄りには辛い「現場での単純作業」「周囲の人たちとも打ち解けない」となりそうで、何だか「もう働かなくてもいいかな」となってしまうかも知れません。根性なしです。
【自営業(個人事業主、フリーランス)】
それでは「個人」で働くという選択肢はどうでしょうか。この場合、特別扱いの労災にも入れないとなれば「社保ゼロ」を覚悟することになります。国保はありますけどね。何か高い技術や価値ある経験を持っていても、条件は同じです。しっかりとリスクを考えなければなりません。特に仕事を始めるタイミングでの初期コストが心配です。この歳ですし、「勝負!」は避けたいところです。
<これがよさそう>
結局は、私にとっての勝手な「最適モデル」とは、こんな感じでしょうか。
●なるべく心身への負担の少ない会社に「社保完備」で働く(そんなところねぇーよ)
●会社は副業、ダブルワークOKであること
●自由に使える時間を使いながら、少しづつ「楽しみながら、より長く収入を得られる仕事」の準備をし、そちらでの収入を増やしていく
●どこかのタイミングで会社を辞めて、好きな仕事をしながら、文字通りのセミリタイアに至る
まぁ、こんな「絵に描いた餅」がお汁粉にできる訳もなく、ぐだぐだと毎日が過ぎていく予感(確信?)があったりします。あっという間に今日から2月ですしね。
こんなこと、本当は50歳くらいになったら整理しておかなければならないことですよね。私もその当時はそれなりには調べたりしたんですけど… やはり、当事者にならないと「自分ごと」にはできないのです。そして、常にそのときには遅すぎる。「できる人」と私の様な「できない人」を隔てる壁は相当に厚いのでした。改めて調べ直して、整理して、取り敢えず納得しました。
そうそう、最初にも書きましたが、このエントリの内容については鵜呑みにせずに、必ずご自分で調べて、知識のある方に確認をして下さいね。これは私のための「備忘メモ」なので。