川沿いには幾つもの工場や倉庫が並んでいて、高い塀で囲われたその前を大きなトラックが砂埃を巻き上げて走る道路があります。そして、道路と塀の間にはまばらな街路樹に守られた細い歩道があります。勿論、そこを歩いている人など滅多にはいません。

今日、用事があって、川向うに車で出掛けた帰りにこの川沿いの道を通り帰宅したのですが、視野に入ったこの歩道を見て、「いろいろな場所」のことを考えたのです。

マドンナがスターを夢見て初めてNYにやってきたときに、タクシーの運転手さんに「世界の中心に連れて行って」と言ったところ、タイムズスクエアで降ろされたという有名な話があります。タイムズスクエアは世界の中心。

それでは東京の中心はどこでしょうか、それは千代田区ではありません。東京都(都島しょ部を除く)を一枚の板とした場合,その重さのバランスが取れる点(中心/重心)は、東京都国分寺市立富士本90度公園(国分寺市富士本三丁目19番地11)です。家から近いこともあり、もう随分前に散歩の途中で、この公園にそれを証明する看板を見つけました。富士本90度公園は東京の中心。(東京都国分寺市公式ホームページ

人それぞれに「自分の中心」があって、人生の大半の時間を過ごす「働く場所」に関しては、都心の高層ビルのキレイで快適なオフィスだったり、騒々しい商業ビルの店舗であったり、車が行き交う工事現場だったり、秋の風が吹き始めた農地だったりします。

一方で同じ時間の中に「川沿いの人気のない道」も存在し続けています。例え、そこに空き缶やゴミが転がっているままで、誰にも顧みられることがないとしても。けれど、ここもまた世界の中心に違いありません。どこだって、世界の中心なのですから。


昔、子供の頃、川に魚を釣りに行ったときには、この歩道を釣り竿とバケツを持って歩いたことを思い出しました。その頃はこの景色を「殺風景」で「寂しい場所」だなんて、少しも思いもしませんでした。あの頃の世界の中心に限りなく近く。

***
ブログランキングに参加しています。よろしければポチっとお願いします。やる気がでます。