「30代にしておくこと」だとか「40代、これだけはやっておけ」といった本やネットの記事があります。しかも大量に。還暦も近くになって堂々と言ってしまうのは何ですが、「そんなこと、今になってはじめて読みました」。そして、思います。「あーよかった、あの頃にそんなこと意識してやらなくて」ってね。
そこによく書かれているのが「社外に人脈を構築」っていう教えですが、「仕事上、必要に駆られて偶然に出会い、同じゴールに向けて一緒に働いた人」こそが「社外の人脈」だと私は思っています。
それに相手だって、その人に会ったり、話をするのは「XX会社の人」という属性があるからこその話なのです。勿論、xx会社から仕事をもらいたいから、その人に会うのです。
だからこそ、「社外に人脈を構築」というのは、自分に実力がないとできないし、時間も掛かることなのです。仕事を通じた信頼でなければ、仕事では使えません。
結局、長期のキャリア獲得プラン、自己育成プランといったものは架空の産物で、「行き当たりばったり」で無我夢中というのが、多くのサラリーマンにとって現役時代の働き方だと思うのです。だから「サラリーマン」は面白いとも言えます。
様々なルールに従いながら、会社というリソースを使って、いろいろなことがやれる、しかも、一定以上のリスクは負わない、爆発的な成功報酬は得られないけれど。この条件に納得できる人にとっては「サラリーマン」は夢の様な働き方です。
「行き当たりばったり」だからこそ、そこでの「出会い」は大切にしたいものです。名刺管理サービスの「sansan」がコロナ禍の状況を踏まえて『「今年のビジネスの出会い」に関する調査』を発表しています。まだ、若い、「現役の人」の回答ですがね。
※以下出典:sansan 「今年のビジネスの出会い」に関する調査(2020.11)
Q1:今年一年(2020年)を振り返って、仕事において、初対面の社外の人と出会う機会に変化はありましたか(対面、オンライン問わず)
A1:とても減った(33.4%)、少し減った(31.2%)
営業や購買といった「人と会うのが仕事」みたいな仕事をしている人たちには、働き方というか、仕事の中身、構成内容が大きく変わってしまいました。うかうかしていると「営業、そんなにいらないじゃん」とか「購買、全部アウトソーシングしたら」なんて、妙な方向に話題が転じそうです。余計なお世話ですが、名刺屋さん、発注が無くて困ったでしょうね。
Q2:社外の人と新たに出会うことが難しくなったことは、仕事に支障をきたしましたか
A2:とてもそう思う(17.4%)、そう思う(37.1%)
ビジネスの案件は「二つと同じものがない」ので、それを解決するには「新しいリソース」が常に必要となる訳ですが、すべてを社内で調達できる訳もなく、「社外に人との新たな出会い」というのが、不可欠ですよね。確かに、これは困ります。
Q9:(コロナ禍で外出、交流が制限された経験を経て)ビジネスにおける新しい出会いや、人とのつながりを、以前よりも大切に感じるようになりましたか
A1:とてもそう思う(20.2%)、そう思う(52.8%)
不思議ですね、コロナ禍で人と会えなくなったら、人とのつながりが大切に思える様になる。「人なんて幾らでも替えが効くよ」なんて大口はもはや叩けません。但し、逆も然りで、自分が相手にとって「大切に感じる」と思われるためには、実績に基づく「信頼」が必要です。
確かに中高年が若手に勝っている唯一の点は「客先や取引先から得ている信頼」なのかも知れません。それ以外は「体力」「知力」「見た目」「期待度」など、何一つ勝てそうにありません。
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多くの50代はこれから、どんどん仕事における「新しい出会い」が減っていき、更にはこれまでお付き合いをしていた「社外の人脈」との関係も疎遠になっていきます。もともとが仕事を仲立ちにした関係ですので、「あなた」が仕事の中心でなくなり、意思決定者でなくなれば、先方には「あなた」に会う必要がなくなります。
まぁ、何となく昔のよしみで会ったところで、何も話題などないのです。これが現実です。
また、雇用延長にせよ、転職、再雇用にせよ、50代以降に待っている仕事は多くの場合、「行き当たりばったり」となります。もはや「あなた」には仕事を主体的にドライブすることは求められておらず、「これをやってね」という「切り出された仕事」をこなすのみとなります。
それがイヤならば、自営、独立ということになりますが、これも結局は仕事主から請け負った「切り出された仕事」をするだけです。さぁ、どうしましょう。何か自分が主役のビジネスでも起こしましょうか。
50代、特に後半以降、問題はいつ自分のモードチェンジを図るということになりますが、これは、いろいろと悩んだり、むしゃくしゃしたり、あがいたり、落ち込んだり、そんなことを一通りしてみないと、そんな気分には至りません。 そして、どこかで気持ちが落ち着きます。
経験者は語る!です。センパイの言うことも聞いてね。
さてさて、「行き当たりばったり」は仕事だけでなく、50代も後半以降ともなれば、多くの生活の時間がそうなっていく様に思います。私などは「生活のすべての時間」が「行き当たりばったり」と言っても過言ではありません。たまに仕事に行く日以外は、医者に行くのも、プールに行くのも、図書館に行くのも、その日の天気や自分の気分と相談して決めています。
「行き当たりばったり」ではなく、予定を立て、準備を怠らないものが一つだけありました。
「家庭菜園の種まき」です。今年は少し始動が遅れており、慌てて今月中に土を起こし、肥料を入れなければなりません。そして、4月になったら、種をまきます。
今年は初めて「ズッキーニ」を栽培してみます。食べ方はよく分かっていませんが。