せっかちな私にとって、家庭菜園に欠かせない野菜が「二十日大根(ハツカダイコン)」です。他の野菜が早くても播種から2ヶ月程度を要する一方で、ハツカダイコンときたら、1ヶ月程度で収穫ができ、ほとんど失敗ということがありません。実りがあってこその苦役です。まぁ、それほどにハードに庭いじりをしている訳ではありませんがね。でも、自分が育てた野菜だと思うと可愛くて仕方がありません。とは言っても、一口でパクリです。
50代になった頃でしょうか、ジョン・スタインベックの「二十日鼠と人間」(1937年)の様な社会性を持つ小説や映画を受け入れることがしんどくなりました。いつか自分たちの農場を持つという夢をもつ二人の出稼ぎ労働者の「運命に翻弄される悲劇的な生き方」を描いたこの作品を読んだのは確か高校生の頃だったのです。この頃は結構に難しいテーマを持つ古今東西の名作を何冊、何十冊も読んだのです。まぁ、そのことが「どこにもつながらなかった」のは言うまでもありません。情けない話です。
社会問題をテーマとする硬派なもの、人の内面を深く描く純文学的なものが苦手になってしまった理由を考えるに、これらの作品の多くが「悲劇的な結末」「不条理な結末」を迎えることにある様に思うのです。まるでサッカーワールドカップにおける日本代表の戦いの様です。少しばかり「薄日がさしてきた」様に見せかけて、最後に急転直下、ガツンとやられる。この後味の悪さに年を取ってきてから、耐えられなくなったのです。悲劇は実生活だけで十分だよってね、安い悲劇ばかりだけど。
そんな軟弱なニンゲンは私だけなのかしらん? アンケートに相談だ。
※出典:@niftyニュース 本・小説についてのアンケート・ランキング(2016.11)
<好きな小説のジャンルは?> ※複数回答可
【男性】1位「ミステリー」44.5%、2位「歴史」41.9%、3位「SF」31.8%、4位「純文学」20.8%、5位「社会」19.8%、6位「アクション」14.1%、7位「ヒューマンドラマ」13.8%
【女性】1位「ミステリー」65.9%、2位「歴史」36.9%、3位「SF」31.3%、4位「ファンタジー」30.3%、5位「エッセイ」27.5%、6位「純文学」26.0%、7位「ヒューマンドラマ」25.1%
やっぱり「ミステリー」、みんな好きですよね。特に女性からの支持は圧倒的です。何でも「すっきりするから」というのが一番の理由だとか。事件(殺人)が起きて、警察や探偵といった「謎解き役」が颯爽と登場して、誤った犯人にミスリードされて、いろいろな伏線が回収されて、最後には「謎」が見事に解き明かされる。基本は毎度毎度この構造が繰り返されるのですが、いろいろな趣向が施されていて飽きることがありません。それどころが「おなじみの登場人物」に親しみが湧いて、どんどんシリーズものを読み進めてしまいます。
肩の力を抜いて、隙間の時間に好きな小説を読んでリフレッシュする。どんなジャンルのものだって、人それぞれの好みであるならば、それが最高です。それにしても「社会」「純文学」、みんな結構読んでいるんだなぁ。所謂「企業モノ」とか「芥川賞作品」といったものですかね。ううむ、食指が伸びません。まぁ、いいや、私も当分はミステリーで「すっきりする」ことにします。あんまり猟奇的な内容のものは困りますけどね。
「二十日大根と人間」はおーちゃんパパによる2022年の小説で、家庭菜園における退職者の奮闘を通じて「ダメなオヤジの再生」を描いた作品である。なんちゃって。
ちなみに最近はハツカダイコンの「玉の部分の色」も昔のような赤だけではないのです。私が今年蒔いたものは、袋の中に「赤」「紫」「白」の種が混ざっていて、「玉が育ってから」のお楽しみということなのです。微妙に味も違っていて、収穫も楽しめれば、食卓でも楽しめるということなのです。「紫」は辛みが強くて、「白」はそのまんま大根の味でした。