三菱鉛筆という会社がありますが、財閥の三菱グループとは無関係って知ってました? 今の学生は情報収集に長けているので、就職時にそんなことは百も承知でしょうが、昔はこの会社の面接で「私は三菱グループの創始者であられる岩崎弥太郎先生の理念に心酔し…」などと吠える学生に、面接官が「それはよかったね」などと軽く受け流すことが頻繁に起きていたに違いありません。まったくの憶測ですがね。

さて、私は今でもエンピツをよく使います。私の子供の頃であっても既にクラスの子供達は「シャーペン」(シャープペンシル)を使うことが主流で、エンピツ派は少数だったのです。カミソリの刃に柄がついているだけの「ボンナイフ」(今思えばほとんど凶器、1つ10円だったかな)というものがあり、エンピツはこれで削っていました。エンピツ削りが買えない程に貧乏な家庭ではなかったのですが、「木を削る」のが楽しかったのです。何となくいい匂いがしましたし。ちなみに私の父親はエンピツを削るのが上手く、削り上がったエンピツには何か民芸品の様な素朴な美しさがありました。身内を褒め過ぎですね。

エンピツは今も昔もこの「削る」という作業により、小さくなっていくのが魅力の一つです。どんどん小さくなって、最後はエンピツのホルダーに入れて使うことになります。あのホルダー、正しくは?「エンピツ補助軸」と呼ばれ、今でも100円程度で買うことができます。エンピツを愛する私も当然ながら、これを数本所有し、愛用をしています。これ、貧しかった日本で独自に生まれたものだと思っていたのですが、昨年の秋にamazonで天地驚愕の一品を見つけてしまい、当然の如くポチってしまったのです。何と世界の高級文具メーカーである「STAEDTLER」社が「エンピツ補助軸」を生産・販売していたのです。STAEDTLER社、さすがドイツ人のやることに卒はありません。ホールドしているエンピツの芯の濃さを軸にディスプレイすることができ、シャツのポケットに刺せる様にクリップが付けられていて、軸の一番上には回転して出入りする消しゴムまでついているのです。しかし、最大の驚きは値段です。2,000円です。高級化、多機能化する対象を明らかに間違っている感じがします。けれど、ポチってしまいました。今、STEADTLER様は1本100円のエンピツ補助軸と一緒に文房具箱で転がっています。まぁ、書き心地には大きな差がないのです。

最近ネットで読んだ記事(まいどなニュース:https://maidonanews.jp/article/14513268)によると、今、一番販売本数が多いエンピツの濃さは「2B」なのだそうです。私たちの頃はずっと「HB」が大エースで、時折「B」や「H」を使うといった程度でしたので、エンピツ事情もいつの間にか変化していたのです。(2012年には既に首位の座が逆転) 「2B」が売れている背景には、学校から父兄に「濃い目のエンピツを持たせて下さい」との指示があるのだそうです。最近の子供は筆圧が弱く、HBでは濃い文字=美しい文字が書けないのだそうです。そこまで力が無いのか、日本の子供は大丈夫なのかと余計な心配をしてしまいます。まぁ、資格試験がある限り、マークシート方式の試験がある限り、「HB」は安泰です。ここ数年で幾つもの資格試験を受験してきた私としては、試験会場にもっていくエンピツ(HB)を数本、念入りに削って準備することが、「いざ出陣!」の決まりになっています。

エンピツにまつわるアメリカンジョークにこんなものがあります。『アメリカは宇宙空間でも文字が書ける特殊なペンを多額の必要を掛けて開発したが、ロシアはエンピツを使っていた』よくできた話です。これ、エンピツが誰もが使ったことがあるもので、それがどんな特質をもつものなのかを知っていることから成立するジョークです。1610年(江戸幕府が始まって間もなく)にはロンドンで普通にエンピツが売られていたそうですから、エンピツは長い間、人間のすぐそばで「転がって」いた訳です。

実はこのblogのエントリ(記事)のほとんどはエンピツで下書きをした後に、パソコンのキーボードから入力をしているのです。その理由は、エンピツで文字を書くのが楽しいからです。それに書くことで漢字も忘れないでしょ。その割に下書きの紙にはひらがなとカタカナばかりが目立ちます…

***
ブログランキングに参加しています。よろしければポチっとお願いします。やる気がでます。