昨日のエントリで、前に勤めていた会社の近くで飲んだことを書きました。それで、東京駅からその街に向かい、夕暮れ時をゆっくりと歩いていたときに、かつての日々では気付かなかったことを幾つか「分かる」ことができました。その中の一つを書いてみます。

長い期間ずっと線香が焚かれてきて、仏壇を中心に部屋の中、それどころか家全体に匂いが染みこんでいる、そんな家ってあるじゃないですか。私が生まれた長野の生家というのは正にそれで、他所でこの匂いを嗅ぐと瞬間に長野の家を思いだすのです。数年前にこの家は取り壊してしまったんですけどね。

仕事が終わった後、気分転換もかねて会社から東京駅にプラプラと歩いて帰ることがありました。その途中に「その家」はあって、薄暗い街灯の光に照らされた古びた民家の様子でした。それで、「その家」の前を通ると「家に染みついた線香の匂い」があたりに漂っていたのです。

何だか懐かしい気持ちにさせてくれるので、結構、「その家」の前を通ることを楽しみにしていたのです。きっと、この家には年老いたご夫婦がいて、静かに毎日を過ごしている、なんて勝手な妄想をしていたのです。

それで、一昨日、初めてまだ明るい時間に「その家」の前を通ったときに「発見」をしたのです。「その家」、実は古びた民家などではなく、大きなお寺だった様なのです。私が玄関だと思っていたのは、その建物の通用口だったのです。

これ、周囲が明るかったことに加え、その「寺らしき建物」の周囲にあった建物が再開発のためか、すっかり無くなっていて、それで「その家」の全体の姿を初めて見ることができたのです。木造で、かなり大きな建物でした。驚きました。

しっかりと確かめた訳ではありませんが、見るからに「寺」の佇まい。どうりで線香の匂いがした訳です。何だか小さく笑ってしまいました。慎ましく暮らす老夫婦はいずこへ。ううむ、事実に気付かない方がよかったかな。

それにしても、この2年間で、私は歩くのが本当に遅くなりました。以前は35分程度で歩けた距離に、45分以上も掛かってしまいました。今回、それが最大の驚きだったりします。

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