そこには誰もいない

何かをする度に、どこかにいく度に、誰かに会う度に、これまでのさまざまな記憶が洪水の様に頭の中に流れ込んできます。楽しかったこと、幸せだったことだけでなく、辛かったこと、そして何よりも「もっと、こうすればよかった」という思いに、しばし思考が凍り付いてしまいます。年を取るとはそういうこと、誰でも同じ様に、そういうこと。

私が考えている程に、相手の方はそんなことを気に掛けていないので、「あの頃に戻って、あのことをやり直したい」などと思い、秘密兵器を使って時間を遡っても、私が到着したその場所にはきっと「誰もいない」のです。

それに既にこの世にいない人たちも待っていてくれません。少しづつ記憶の中で影が薄くなっていき、輪郭がぼやけていきます。詫びたいことはたくさんあるのですが、あのときに父や母がどんな表情をしていたか、今では思い出せません。

それで、しばし、「誰もいない場所」でうなだれては現実に戻ってくるという訳です。時間があるというのも考えものです。人間なんて強いもの、厚顔で恥知らずなものなので、きっと、こんな風に「もっと、こうすればよかった」「こうしてあげられたのに」なんて思うことにも段々に飽きてしまうのかも知れません。何にせよ、生きている私のお腹は空くのですから。

さて、そろそろ血圧と心臓のクスリをもらいに病院に行かねばなりません。家から少し遠いところにあって、車で出掛けるのです。以前のエントリでも書いたことがありますが、病院の待合室、大好きなのです。何だか「そこにいてもいいんですよ」と静かに放置されている様で、しかも本を読む程度しかできずに「手持ち無沙汰」な感じで。

そうそう、今日（11/3）が祝日だって、ついさっきまで気が付きませんでした。「休み多目の毎日」というのはそういうもんです。