お金の心配、健康の心配も大事ですが、本当に考えなければいけないことは「与えられた長い時間をどう使うか」だと思うのです。時間というのは何か心配事があると、どんどん食い荒らされてしまうものですしね。それに「さて、今日は何に時間をじっくり使おうかな」なんて考えてみるだけだって、十分に楽しいじゃないですか。
私の場合、手に入れた「長い時間」の一部を料理チャレンジに使っています。今までデリで出来合いを買っていたり、冷凍食品に頼っていたものをネットのレシピサイトを見ながら、手間を掛けて作っているのです。他のことをガシャガシャとやっているといい顔をしないカミさんも、料理チャレンジには寛容です。けれど条件が付いていて、「後片付けもきちんとやること」。作りながら片付ける、これが結構に難しい。
最近は中華料理の手作りがマイブームで、先ずは点心からとばかりに餃子、シュウマイ、春巻きを作ったりしています。大体同じ「構造」の料理で、皮に「ひき肉中心の餡」が包まれています。それで調理方法によって味わいや食感がまったく異なる一品になるのですから、料理というのは面白いものです。また、手前味噌ではありますが、手作りした点心はとても美味しいのです。コストを余り考えずに、よい材料を使い、ゆっくりと時間を掛けることができれば、素人だっておいしいものが作れます。そろそろ大失敗をやらかしそうですが。
一方で「時間がある」ということは「時間がないから」「忙しいから」という「言い訳」ができなくなるということです。家事の多くが「自分事」になる訳です。昔から風呂掃除は私が担当していたのですが、「時間がある」ことになって、結構に念入りにやっているのです。
基本は浴用洗剤+メラミンスポンジで汚れを落としているのですが、家を建ててから30年も「そのまま」のお風呂ですから、ところどころにその程度では落ちない汚れがついています。これを二か月に一度、高圧洗浄機を使って「落とす」のです。準備から後片付けまで、大体2時間コースの作業です。ひどい「のろま」です。それでいいんです。時間はありますしね。それに「目に見える達成感」が味わえる楽しい作業ですから。
退職者、高齢者のような「時間持ち」の人たちを対象とした「市場」というのもきっちりと立ち上がっているのですね。「スローライフ」「スローフード」。この市場で成功を収めようと若い人たちがキリキリと忙しく働いている、ランチなんかコンビニのおにぎりを慌ただしく頬張っている。何とも面白い感じがします。そんな忙しい人たちもあと暫くすれば「時間持ち」になれます。頑張ってね。