我家の隣りの空地にアザミが二十株以上も生えていて、花が咲き終わった後にその種子をタンポポの綿毛の様に空中に舞わせています。幻想的でとても美しい光景ですが、これ、アザミの種子が芽吹いた後、駆除のタイミングで大騒ぎとなるのです。だって、葉っぱにひどいトゲがあるのですから。
これ、アザミの中でも「アメリカオニアザミ」といって、生態系被害防止外来種に指定されている狂暴な奴なのです。名前とは異なり原産はヨーロッパで、全長2mにも達することがあり、葉や茎に鋭いトゲがあるのです。
実際には「鋭い」どころではなく、ほぼ凶器です。ゴム手袋をしていても、軍手をしていても、園芸用のグローブをしていても、すべてを貫通してしまいます。とにかく芽が出ていたら見つけ次第抜いてしまわないと、本当に血みどろの戦いに発展してしまいます。野生動物ですら、こいつだけは食べないとか。「せっかく遠い土地から、はるばる我家まで来てくれたのにゴメンね」などと言いながら、十分にトゲに気を付けて駆除します。
以前のエントリでも書いたのですが、相変わらず我家の庭/家庭菜園には数多くの訪問者がやってきては芽吹きます。こういった「風や鳥」によって運ばれてきたものに加え、こちらからお願いして我家に来てもらったものもあり、それは庭木だったり、花の苗だったり、野菜の種だったりします。
いったいどんな縁があって、我家の狭い庭にいろいろな植物がたどり着いたのか。できれば、どれ一つ抜いたりせずに成長を眺めていたいところです。アメリカオニアザミにしても、とても美しい花を咲かせる魅力的な植物なのですが、如何せんトゲが強烈すぎてお手上げです。
よく考えれば私たちの多くにしても、何かの縁や偶然で、今の住処に「ついこの間」たどり着いたばかりです。この辺りが住宅地として開拓されたのも高々100年程前のことで、それまでは人の住まない雑木林だったのです。そして、私の家族がここに越してきたのは今から55年程前のことです。それに、これから50年もすれば、見ず知らずの人がここで暮らしているに違いありません。何だか不思議に思ってしまいます。
そう言えば、愛猫のおーちゃんも我家にたどり着いたものの一人です。おーちゃんは名古屋のブリーダーさんのところで生まれた子ですから、東京都下の我家まで、約330kmの旅の末にたどり着いたことになります。今、私の座るイスのすぐ近くの床でウトウトとしている姿に「よく来てくれたねぇ」と話し掛けました。