さすがに今はそんな話をする人はいないと思いますけれど、昔は結婚式の披露宴のスピーチで「結婚したら、相手のことを片目で見て下さい」などと言う人がいたものです。相手の「いいところだけ」を見ろという有難い教えなのですが、披露宴会場のあちこちでは「両目をしっかり閉じています」とか「耳もふさいでいます」とかいった呟きが聞こえている訳です。それで幸せなら、いいじゃないか!
同じく披露宴で、「人生には3つの坂がある」と言い出すお父さんが登場することがあります。「上り坂」「下り坂」そして「まさか」という話です。あんまり聞き過ぎて「またか」と思う人が続出し、つい自分の内側への小さな旅に逃避をしてしまいます。
誰か「人生には3つの坂があります。上り坂、下り坂、道玄坂(渋谷)です。道玄坂には私の青春がありました。よく仲間と繰り出しては…」などという意味不明な話を始めてくれないかしら。身を乗り出して聴くぞ。
確かに人生には「まさか」があります。「まさか」の語源は「まさき(目先)」だそうで、現実とか現在の意味。これが緊急事態を表す「まさかの時」という表現になり、これが転じて「よもや」とか「いくらなんでも」という意味で使われる様になったとされています。和語なので漢字はないそうです。まさか、「真逆」なんて書いていないでしょうね。
「まさか」とは予測したこと、「想定したこと」と「現実に起きたこと」の差異が大きなものということですが、50年前に予測された未来が今どうなっているのかを調べてみました。
1970年の大阪万博に出展していた「三菱未来館」では「50年後(2020年)の日本 陸・海・空」に関する未来予想を行っていました。さてさて、「まさか」の結果になっているのでしょうか。 ※出典:みらい予想図 | 三菱創業150周年記念サイト
<働く時間は1日4時間に!肉体労働は、姿を消す>
日本の雇用状況が悪化し「働く時間が『0』になった方が多く発生したら、アタリ」などというブラックなジョークはさておき、「ハズレ」です。これは「アタリ」になるとは、流石に当時でも誰も思ってはおらず、今後もしばらくはこんなことにはならないのです。
キレイなオフィスでの仕事しか知らなかった中高年の多くは「転職」「再雇用」で肉体労働の仕事に出会うことになります。沢山の肉体を使う仕事があり、沢山の人がこれに従事して働き、これにより社会はスムーズに回っています。但し、あれから50年も経って、「まさか」肉体労働が少しも減っていないなんて!というのは驚きです。
<壁掛けテレビや電子頭脳が普及>
これは「アタリ」です。まぁ、エレクトロニクスと情報化に関しては、当時からきっちりと「技術革新による実現の道筋」はついていた訳ですから、「まさか」も何もありません。
但し、情報化やグローバリゼーションの進展が「まさか」ナショナリズムの独善的な高揚や、人々の憎悪を増幅することにつながるとは誰も思っていなかったと思います。「まさか」人間がこんなに進化しないとは。
<ガンは克服される>
「ハズレ」です。それどころか、1970年当時は日本人の死因の第2位だった「ガン」は、1981年以降、ずっとダントツの第1位なのです。ちなみに最近は「老衰」で亡くなる方の比率が増えているそうで、「ガンは克服されなかったけれど、他の病気は随分と克服された」ということになっています。
<仕事は完全自動化、ボタンひとつでOK>
部分的には「アタリ」で、まるっと考えると「ハズレ」です。コンピュータ、情報システムというのは「自動化」と「高速化」が目的のものですので、仕事における「部分」については、その多くが「自動化」をされています。
RPA(Robotic Process Automation)なんてものもあり、オフィスで人間が行っていた単純な入力作業やExcelでの計算などをプログラム(Robot)が自動化してくれる訳です。オフィスで一目置かれていた「Excel職人」の皆さん、「まさか」オレがいなくても仕事が回るなんて…ということになっているのです。
話は脇道にそれますが、Excel職人の人ってスゴイですよね、Excelを愛し過ぎちゃって、何でもExcelでやっちゃう。文書作成は勿論Excel、場合によってはプレゼンシートだってExcelで作っちゃう。きっと、退職後も家でExcelを使って、何でも解決しようとして、奥さんに白目をむかれるのです。
「まさか」Excelで解決できないものが世界にあるなんて。早く掃除したり、お風呂を洗った方がいいですよ。
昨日、車の左側面をガレージの柱に少しぶつけてしまいました。とほほ… さて、どうしたものでしょう。修理に出すか、8月が車検なので、そのときに乗換えを考えるか。
「まさか」自分がハンドルを切った状態で車を駐車していたなんて、思いもしませんでした。ギヤをバックに入れて、何も考えずにアクセルを踏んじゃいましたよ。