そもそも中高年が(半ば)リタイアした後に「辿り着くゴール」を設定するというのも少し変な話です。だって、リタイアがゴールだったハズですから。でも残りの人生はイヤな程に長く、ひたすら漂流していくのも飽きてしまいます。ただ、何となく前には進んでいる様な気はするので、私はそれでよしとすることにしています。えっ、進んでいるその先にあるものは何かって? それは勿論「最後の日」です。ひねりもなく、そのまんま。猫まんま。
何かが終わりかけているとき、終わらせようとしているときに、「遠回りをしたけれど、やっと一歩先に進んだ」と思うときってありません? 「遠回り」とは「目的地に向かうのに最短のルートではないルート」のことで、期せずしてそうなった場合と意識して遠回りをするケースがあります。
「月がとっても青いから」「遠回りすると美味しいケーキ屋さんがあるから」という理由以外で「敢えて遠回りをする」を選択するのは人生の達人の発想です。下々は「ズルをしてでも最短コース」をとってしまいます。そして、毎度失敗して「急がば回れ」の教訓を得るのです。何度でも繰り返す悪夢の様に。
けれど、最短コースをとって早めに失敗して、何度も新しいチャレンジをするというのも一つのやり方とも思います。どちらかと言うと私は「早期失敗派」です。せっかちですからね。遠回りしている中にどこにも辿り着かずに年老いて朽ちてしまう、そちらの方が私には悪夢です。
いずれにせよ、そうなってしまった「遠回り」がムダだったのか、必要なものだったのかは本人がどう考えるか次第です。「すべてのことには意味がある」といったスピリチュアルな見地に立てば、「ムダな遠回り」などないことになりますが、遠回りをして電車に乗り遅れてしまったら「ムダな遠回り」ですよね。何ですとぉ~「電車に乗り遅れたことにも意味がある」ですって? あるわきゃねーだろ。
「急がば回れ」って言葉、実は「ことわざ・慣用句の中で、『確かにその通り』と納得するもの第1位」なのです。上位5つをご紹介します。
※出典:ネットドライブ ディムスドライブ ことわざ・慣用句の中で、あなたが「確かにその通りだ」と納得するものは?(2007.10)
<全体>
①急がば回れ ②二度あることは三度ある ③猿も木から落ちる ④情けは人のためならず ⑤二兎を追う者は一兎をも得ず
<50代男性>
①急がば回れ ②情けは人のためならず ③二度あることは三度ある ③為せば成る ⑤犬も歩けば棒に当たる
<50代女性>
①石の上にも三年 ②猿も木から落ちる ③情けは人のためならず ④急がば回れ ④人間万事塞翁が馬
50代女性では「急がば回れ」は首位から転落し、「石の上にも三年」がNo.1となっています。今までの人生、いろいろなことがあったにせよ、「ここまでやってきたのよ」という自信が感じられます。一方で未だに「急がば回れって言うじゃない、慌てない慌てない」などと呑気に構えるお父さんに「今更何言ってるのよ、急ぐときには急ぎなさいよ」とピシャリと命じていそうです。
それにしても50代男性の第5位、「犬も歩けば棒に当たる」、何だか切ない感じがします。「無駄だと思うけどやってみるね、だって、犬も歩けば棒にあたるって言うし」とか、力なく笑ってる感じがします。ちなみにこれ、20代や30代では誰も回答していないのです。とほほ…
実は今日で終わりになること、自分で終わらせたことがあって、そのことに関して、私の感想は「遠回りしちゃったな」なのです。特にゴールを定めている訳でもないので「遠回り」というのも変な表現ですが、「そのこと」をやってしまったが故に、結局、この1年他のやりたかったことが幾つもまったく手が付けられなかったのです。ただただ、大して楽しくも得るものもなかった「そのこと」にズルズルと時間を使っただけ。いい年して、何をやっていたのやら。
「時間」だけが今の私にとって唯一の「持ち物」ですので、これからは「遠回り」になりそうなことはすぐに引き返すことにします。下手に進んでしまうと引き返すのも面倒になってしまいますしね。
「引き返す勇気」、青少年の非行防止と老人の余生においては重要な言葉です。大書して玄関に飾ることにしましょう。