ついこの間まで、60歳定年で後は働かないというの普通だったのが、いつの間にか65歳まで働くのが当たり前になり、恐らく5年もしない中に70歳までみんなが働くようになりそうです。それどころか、その先には「働けるうちは働く」というスゴい時代が待っています。

これがいつか国民の出生率が高くなるまでの間、少子高齢化による労働力不足解決のために日本人が出した答えだとしたら、余りにも壮絶な決意です。心身の衰えをAIやロボットによって補ったサイボーグの様な高齢者が働き続ける社会、現実はSFの先を行きそうです。

本当は働きたくないのか、働くことが楽しいのか、シニア/高齢者に投げ掛けられ永遠の問いです。永遠といっても、しばらくすると動けなくなったり、いなくなってしまうので、そんなに長期間ではありませんけどね。

さて、今回の「シニア求人を眺める」はシニア/高齢者が働くことに求める「贅沢」を考えてみます。シニア向けの求人情報を見ていると、そんな贅沢なシニアたちの「肥えた目」に叶うべく「気をひく言葉」があちこちに盛られています。

先ずは一番肝心な「お金」から。パッと見は給料が高そうに見える場合、よく勤務時間を確認しなければなりません。そういうところというのは、ほとんどが夜勤がある仕事だったりします。若い人でも何年も続かないというのが夜勤ですから、多少給料が高いと言っても覚悟が必要です。それに、覚悟しても無理なものはムリです。

「賞与あり」の魅力的な記載に胸が躍りますが、多くの場合、年間で1ヶ月とか、半期に5万円とか、そういうレベルだったりします。これ、なかなかに面接で聞けることでもないし、仕事を始めてから「エーッ」ということになります。現役の頃のボーナスと比べてはいけません。

さらには「入社お祝い金」なんて記載にも目がくらみますが、これもよく求人情報を読んでみると「入社後3ヶ月後に支給」なんて書いてあったります。余程、厳しい仕事と覚悟すべきです。

それから仕事のキツさ、難易度に関しても、「先輩が丁寧に教えます」とか「誰でも最初は未経験者でした」(当たり前)なんて言葉が並んでいますが、単純な仕事ほど実は辛かったりするのです。それに「丁寧だったり、親切だったりする先輩」なんてものは空想上の生き物だったりします。

更にはユニークな論点で求職者に訴求をする求人もあります。「あのXXXという企業で」なんて書かれている求人情報を眺めると、「その企業での警備」とか「そのホテルでの清掃」だったりします。そんなところに拘るシニアなんているのかな。

「背に腹は代えられない」「背水の陣」で働きたい人(シニア)であれば、本来、こんなキャッチコピーなど掲げなくとも、出会った仕事に身を投じて、粛々と何年、何十年と老後からの仕事を続けていたりもします。何だか見ていて、神々しさに頭が下がってしまいます。

一方では(今の)多くのシニア/高齢者は、仕事にいろいろな条件を「贅沢」に求めている様に思います。(他人のことは言えませんが…) 「給料」「仕事内容/職場環境」「プライド」…現役の人以上に、高齢者は仕事探しにおいて「贅沢」だったりします。

私が知っている限り「何でもよかったんで、働かせてもらって有難い」なんてシニア/高齢者には出会ったことがありません。それどころか、聞いた話では、午前中、職場の雰囲気を味わったら「こんなところでは働けない」と即刻辞めた人もいたのだとか。すげぇな。

その中でも「給料」で文句を言う人は少なくて、強いていうならば「プライド」を満たしてくれる仕事がしたい、職場を選びたいという「贅沢」を心に秘めた人が一番多い様に思います。そういう人たちって「オレがいた会社では」とか「これまでの人生で」とか、自分の信条みたいなものが常に胸の奥でくすぶっている訳です。

こういう「贅沢」を満たしてくれるなんて仕事や職場なんて、滅多にないですよね。仕事がキツくて辞める、長続きしないなんて、本当は慢性的なシニア/高齢者の人手不足の真因ではないのかも知れません。

けれど、広義での「プライド」が真因であれば、もはや求人側では打ち手などありません。だって、辞めてしまうお年寄りたちというのは「自滅」みたいなものですから。いろいろ考えると求人側、求職側、双方共に救われない話です。けれど、プライドはその人のコア(中核)ですからね、どうにもなりません。

私? 私はあまり「プライド」といったものが、心の中で首をもたげることはありません。そもそもベースとなるもの自体が怪しかったりします。大した実績も、経験もないということが、まさかここで実を結ぶとは…

最後に直近の「求人模様」ですが、『相変わらず』で、いつもの職種/いつもの会社の求人記事が並んでいます。けれど、段々と働くことができる年齢が後ろになっている様な気がします。今や70歳まで、というのがスタンダードです。

60歳以上の人を対象とした「幾つまで働きたいか」という調査の上位の回答は、①65歳位まで(25.6%)②70歳位まで(21.7%)③働けるうちはいつまでも(20.6%)なのだそうです。(内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」/令和元年度) 5人に1人は生涯働く覚悟か…みんな頑張りましょうね。

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今日(1/13)は、夕方に図書館に行ってきたのですが、東京地方(とはいっても外れの方)では雪が舞っていました。寒かった… あまりに寒かったので、途中にある100均で贅沢をして200円の手袋を買ってしまいました。こんな風にして買ってしまった手袋が一体幾つあるのやら。

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