すべての「バタバタ」がようやく終わり、今は「正しい定年後」?を過ごしている様な感覚があります。私が考える「正しい定年後」とは、①現状を続けていれば大丈夫 ②人のストレスが少ない(無い) ③何に関しても「欲」がない、何てところでしょうか。

そもそも「バタバタ」とは何かということですが、これは「長年の現役を終えてから『定年後』に至るまでの軟着陸」に関わる時間とプロセスを指していたります。現役終了後にいきなり次の場所に移れるなんて人はいないんじゃないかな。

何となく「やり残したこと、まだ自分にできること」がある様に思えたり、「自分だけが切り出されてしまった」様に思えたり、大なり小なり、こんな心細い思いをする様に思うのです。それで、これを忘れてしまうのに「時間」と「プロセス」が必要だったりします。

「時間」はともかく、「プロセス」は人ぞれぞれで決まりはなく、共通しているのは、あれこれと動いては「どこのドアを開けても、自分にしっくりする世界など用意されてはいない」と知ることでしょうか。

これは「諦める」とか「自分に言い聞かす」といったことではなく、ただ「事実を知る」ということ。それでようやく「バタバタ」に終わりが告げられる様に思うのです。これは、幾ら本を読んでも、経験者に話を聞いてもダメで、その時がきたら、逃れることのできない「通過儀礼」みたいなもので、このシャワーゾーンをみんな「ジタバタ」と抜けるものなんでしょうね。

それで、幾らキレイ事を言っていても、悩みなどなく穏やかに過ごすことができていても、結局は「年金」頼みということに改めて立ち返ってしまいます。若い頃に先が見えていて、預貯金を2億円貯めました!とか、投資益などによる不労所得が年間に1,000万円あります!とか、親からの相続された資産でウハウハです!、なんて人はそんなにいないでしょうしね。

何だかんだで、ならしてみると年間400万円の支出があるとして、うっかり60歳~90歳まで長生きをした場合、単純計算で1.2億円が必要な訳です。これをどこかから捻出して来ないといけません。例えば、預貯金が5,000万円あります!こんな人も多くはないでしょうが、これだけあっても全く足りません。

それでは、60歳~70歳までは手取り250万円で10年間働きます!これだと2,500万円を積み上げることができますが、預貯金と足したところで、やはり足りません。それじゃ頑張って75歳まで働くとしても、焼石に何とかみたいなものです。それに70歳を超えて、手取りで250万もらえる仕事なんて滅多にありません。ここまでで、5,000万円+2,500万円=7,500万円。

そうなると、結局は私たちの生殺与奪の権を握っているのは、65歳から90歳までの25年間に給付される「年金」ということになります。それにしたって、夫婦で額面年間300万円(月25万円)もらえるとしても、税金だ健康保険料だのが差っ引かれて、手取りは年230万円程度なので、90歳までに累計で5,750万円。ようやく、これで、合計1.2億円をクリアです。(合計:1億3,250万円)

対策を考えるならば、現実的には、生活を縮小する、長生きをしないという切ない二択になります。自宅を持っていれば、これをどこかのタイミングで売却するという手もありますが、長年暮らした我家から、年老いて出ていくというのは簡単にできることではありません。

こうやって、改めて計算をしてみると随分と私たちは「危うい世界」で生きていることがわかります。何せ、この国が、というか、この世界が平穏無事であることが前提条件での「目論見」なのですから。

これまで蓄えた財の価値が変わらない世界、年老いてからも収入を得られる仕事がある世界、決まった額の年金が保証されている世界、何だか奇跡の様にも思えます。まぁ、自分では動かせないもの、変えられないものを憂いても仕方がないので、取らぬ狸の皮算用を信じて、「正しい定年後」を粛々と過ごすのみですけどね。

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よく定年退職後、年金給付開始までの「60歳~65歳をどう生きるか」なんて話がされますが、本当はもっと長いスパンで考えないといけませんよね。それに、90歳どころか、100歳まで生きてしまう心配?だってあるのですから。

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