最近、頻繁に「ジョブ型」(採用、雇用、人事)という言葉を聞きます。大企業を中心に急速に導入が進められています。導入の背景は多様な働き方への対応、新しい「必要」への人材確保、人材の流動化促進、人件費の削減! など、企業価値の根幹をなす「人」に関する経営課題の解決が期待されています。また、このことは単に「企業が雇用の仕方を変える」ということに止まらず、大きな社会変化の兆しの一つと思います。このエントリは特に専門家でもない老人が読んだり耳にしたことを、ただ「自分なりに整理してみただけ」のものなので、正確な情報の収集は皆さんでお願いしますね。
「ジョブ型」(雇用)とは、はじめに 職務記述書(JD:Job Description)で きっちりと定義された仕事/Job(業務内容、必要スキル、給与など)があり、この仕事に対して人を雇用するというものです。当然ですが、これに基づき採用された者はずーっと「JD」に定義された仕事をします。多くの大企業がジョブ型雇用に舵を切る2022年は、日本企業の「終身雇用/年功序列の終わりの始まり」として記憶されることになるかも知れません。
一方で従前からの日本企業の雇用スタイルは「メンバーシップ型」(雇用)で、終身雇用/年功序列とは不可分の雇用スタイルです。会社の中で人を適材適所に配置していきます。転勤もあり、仕事内容がガラっと変わったりします。よく聞く「ところでお前、今、何やってるの?」ということが頻繁に起きます。
また、日本式のジョブ型?(柔軟なジョブ型)といった摩訶不思議なことも議論されていて、それでは「ただ従業員の給料を下げるだけ」の様にも思います。都合いいなぁ。
会社(経営者/人事部)、従業員、それぞれの立場からメリットとデメリットがあり、アンケートを実施しても、会社サイドは賛成が多数、従業員サイドは反対が多数になったりします。されど、決めるの会社側なので、従業員は「新しいルール」で仕事をすることになります。今までの仕組みからどの様にソフト・ランディングするのでしょうか、それとも大怪我覚悟でハード・ランディングを決行するのでしょうか。4月以降に聞こえてくるであろう企業での導入事例レポートを待ちたいと思います。きっちりとやられてしまうと、中高年には辛そうです。
ちなみに中高年を対象とした求人(多くは有期契約社員)というのは、ほぼ100%が「ジョブ型」です。最初から「あなたにしてもらう仕事はこれで、給料はこれで、昇給はなしで…」ときっちりと決まっています。求人広告において、「部長募集」とか「管理職募集」とか「幹部社員募集」などというものをたまに目にすることがありますが、相当に怪しい会社ですよ。
今の社会状況に関する主だったキーワードを並べると、ぼんやりと未来の風景が見えてくる様な気がします。
◆少子高齢化/社会保障
◎(既に始まっている)少子高齢化 ◎年金受給開始年齢引き下げ(現在の65歳から70歳での受給に徐々に移行) ◎ベーシックインカム ◎更なる重税化、財産税
◆企業の経営環境
◎65歳までの雇用義務、70歳までの雇用努力 ◎大企業による「終身雇用はムリ」、「45歳定年」発言 ◎ジョブ型雇用 ◎同一労働同一賃金(正規雇用/非正規雇用) ◎働き方改革
◆社会/くらし
◎市民生活、企業活動への国の関与の拡大 ◎自己責任が当たり前という風潮の蔓延 ◎(まるで誰かが仕組んでいる様な)貯蓄ブーム/投資ブーム、FIRE願望
ううむ、これからしばらくは社会変革の過渡期となり、中高年も逃げ切れずに痛い目に遭いそうなイヤな感じがします。しっかりしないといけません。それに国や団体の施策については「大きな変化に目先の打ち手、足並み揃わずじっと手を見る」の様に思います。そして、企業が終身雇用を捨てる未来を若者は既に予見し、これを生き残るべく自助を始めています。
時代や社会の総意なのか、誰かや何かが、己の正義や、己が信じる正しさに準じて、社会を変えようとしているのか私には分かりません。また、暗愚な私にはその「変化後の絵姿」を見通すことが難しく、ぼんやりと景色が変わっていくのを眺めるだけです。全体像が見えないのですから、安易に「こういうものだ」と結論を出したり、誰かを利する「陰謀じみた考え」に乗ることはしたくありません。社会で起きていることにきちんと関心を持ち、旧式の頭でそれなりに考えることにします。おなか空きました。お弁当が食べたいなぁ。