最近、介護や保育所/学童保育施設の現場で起きている痛ましい出来事が数多く報じられています。きっと、昨日今日のことじゃないんだろうな。
「現場系の仕事」には、1980年代後半あたりから3k(キツイ、キタナイ、キケン)など言われて、妙な「決めつけ」がされてしまいました。実際にそうなんですけど、これに従事する人にとっては、これが「格差」「身分」の様に語られて、働き辛いものとなっている様に思います。
現場系の仕事? 介護、保育、病院、警備、清掃、マンション管理、ビルメンテナンス、施設管理、設備管理(エレベーターとかポンプとか)、ドライバー、ガソリンスタンド、コールセンター、警察/消防などなどです。
仕事内容が大変であることが多いにも関わらず給料は低く、特に若い人からすると、同世代の人たちが「うまくやっている様子」をtwitterだ、インスタだなんてところで、これみよがしにupしているのをみると「やってらんねーよ」という気持ちになるのも十分に理解できます。だからと言って、高齢者や幼児といった弱いものにあたってよい訳はありませんが。
「仕事内容が大変」「給料が安い」ということに加えて、仕事を取り巻く環境というのも「現場仕事」というのは恵まれていない、キビシイものがあります。例えば、自分の人生における「その先」がなかなかに描き辛い。この仕事の先には、また同じ仕事があるだけ。辛い仕事だけに、これはしんどく思います。
それに「現場」というのは程度の差こそあれ、閉塞していて、少ない人数の中でどんどんと人間関係が煮詰まっていきます。そして、慢性的な人手不足に伴う「シフト」の苛烈さがあります。夜勤をこなして、さらに「明け」の日もすぐには帰れない。これでは拷問です。
また、「現場仕事」というのは、基本として本人任せの部分が大半を占めてしまうので、真面目な性格の人、何でもまともに受け止めてしまう人にとっては更に辛いことも沢山待ち構えています。仕事によっては人間のエゴと真正面から対峙させられたり、誰もやらない最後の後始末をさせられたり。
だから、まともな人ほど、折れる様に仕事をやめてしまう。けれど、いろんな事情があって、結局はまた同じ様な仕事に戻ってしまうというケースも少なくありません。もはや、自己責任論を振りかざして解決が図れる問題ではありません。
みんなこういう「現場」の痛みというのを実際に知れば、問題を解決するためのよき対策が生まれてくると思うのです。例えば、高校を卒業したら1ヶ月間は介護の現場に行くとか、すべての議員は年間に1ヶ月間種々の現場仕事をするとか、大企業は率先して社員研修に現場仕事の体験を組み込むとか。そこからじゃなければ何も始まらないと思うのです。
少子高齢化という国家存亡の問題を抱え、重税感に押し潰されて、今は年寄りと子供以外はみんな働かなければならない時代です。だとしたら、この人たちの家族や人生や生活をきちんと見守るための仕事や、皆が利用する設備や仕組みを支える仕事に対して、もっと「理解」をすると共に、相応の報酬を出さなければいけない様に思います。大して厳しい目にはあっていないものの「現場」で仕事をしているものとして書いてみました。