「できるだけ人と関わらない仕事」というのがシニアに人気です。シニアだけではなくて、ほとんどの人がそう思っているハズです。実際にはそんな仕事はほとんどなくて、どこで何をするにしても「人との関わり」は避けて通れません。
最近、近所の空地に次々に家の新築が始まっています。景気が悪いというのはどこの国の話やらです。この中で、斜面に面した土地での新築に際して、擁壁を作る工事が始まっているのですが、この工事、一週間程前から、まだ30代半ばくらいの方がずっと一人で黙々とユンボ(小型のパワーシャベル)を操って作業をしているのです。
午前中も早い時間から日暮れまで、誰とも会話することなく、本当に「黙々と」働いています。いろいろと分業がなされているのでしょうから、近々にも彼が担当する部分の仕事は終わるのかも知れません。一日が終わる度に素人目にも「随分と進んだな」と思えるくらいの変化を見ることができます。
しばし立ち止まってこの作業を見ていると、もはや戻ることはない若い日に「いろいろな将来の選択肢」があったのだなと思う訳です。何が正解で、何が間違いかなどということはありませんが、きちんと自分の思いがあって、自分の将来を選んだかと問われるとどうにも自信がありません。まぁ、それでも生きてこられたのですから、きっと自分に適した仕事であり、会社だったのでしょう。
ユンボの彼が普段はどんな人で、他所ではどんな仕事をしているかは分かりませんが、私の近所の現場では、辺りが暗くなった頃に重機のエンジンを止め、周囲の掃除をし、現場に危険がないかを確認して、一人で現場から帰っていきます。そして、また、翌朝、一人で現場にやってきては「昨日の続き」に取り掛かります。
きっとシニアがしたい仕事というのはこういうものなんだろうな、と思うのです。少なくともシニアの一人である私はそう思うのです。まぁ、今更ユンボの運転に必要な免許を取って、60歳にして現場デビュはできませんけどね。(「車両系建設機械運転技能講習」と「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」のどちらかだそうです)
随分と夜も冷えてきました。愛猫のおーちゃんが家の中で寒い思いをしていないか気に掛ける毎日です。