あまたの書籍やWEBサイトに「退職後」の情報があふれています。けれど、大体が、「自分は成功したと考えている退職者」の話だったり、まだ若い人がいろいろな情報を寄せ集めて「想像」で書いたものばかりです。だから、普通に生きて、普通に退職した人の「気持ち」がそこにはない様に思うのです。というか分からないのです。
定年退職や早期退職に備えて「50代になったら準備を開始しましょう」などと各所で大合唱です。多くの人がまだまだ忙しくて「それどころ」じゃありませんし、例え、何か準備できたととしても、その準備自体が無駄なことに終わることも決して少なくありません。
理由は「そのときの気持ち」という「人が生きるときに最も重要なもの」が、そこにまるっと欠けているからだと私は「ようやく気付いた」訳です。だから、「退職後のことは退職後に考えて、退職後に対処する」ということでよかったんだと最近はそんな風に考えているのです。
そう考えると何となく気が楽になり、力も湧いてくるというものです。
私にしても何も準備をせずに早期退職をした訳ではなく、それなりに準備や退職後のイメージを持って会社を辞めたのですが、結局、これが自分を苦しめたり、思考や行動を制限してしまった要因でもあるのです。
「準備したとおりにやらなきゃ」という訳の分からないストイックさです。私の場合、そこまでではありませんでしたが、実際の自分の気持ちと「準備したこと」が余りに違っていたりすると病んでしまう、鬱を発症してしまうということすらあるそうですから、怖い話です。
唯一、現役時代の準備で役に立つのは、やはり「お金」なのでしょう。身もふたもないことを言ってしまいますが、「お金」は可能性であり、心のセーフティネットです。退職後の自分と家族へのプレゼントだと思って「お金」を貯めて、退職後のことは退職後に考える。退職後の自分の気持ちに従って、その時にいろいろなことを決める。本当に必要な準備って、それだけだった様に思うのです。50代と言わず、30代くらいの自分にこんこんと説教をしたい気分です。
まぁ、今は「退職後の気持ち」に従ったことをしているのですが、これだって、いつ別の思いが頭をもたげてくるか分かりません。その時は「その時の思いに正直にやるだけ」と最近は腹を括っているのです。思えば大して「背負っているもの」も今はないのですから。
とにかく、私の夏休みは今日が初日、これからプールでクロールで水しぶきでもあげることにします。