世の中には沢山の職業があります。厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査によると、日本にある職種の数は1万7000種類以上もあるそうです。私はこれまで過ごしてきた時間を悔いたり、呪ったりするものではありませんが、もし、若い頃に「世の中にはこんな職業があって、その職業に就くにはこんな準備が必要だ」と大人に教えてもらえたら、今とは随分とちがった人生を歩んだだろうなと思うのです。結局は同じ選択をしていたかも知れませんが。

ネットで調べると幾つかの学校では「職業紹介授業」というのが行われている様で、これは大変に素晴らしいことだと思います。

品川区が行った「職業紹介授業」に講師(ドリームティーチャーと言う)として参加した三菱重工さんのWebサイト記事を引用します。
‘当日は当社社員のほか、「幼稚園教諭」や「介護福祉施設責任者」「ベンチャー企業経営者」「メイクアップアーティスト」といったさまざまな職業に従事する社会人計6名が「ドリームティーチャー」となって、5~6年生約30名を前に、仕事の内容ややりがい、今後に向けてのアドバイスなどについて順番に説明しました。このあとグループに分かれた児童たちが順番に各ドリームティーチャーを回り、さらに詳しく質疑応答を行いました。当社社員の周りに集まった子どもたちに、ロケットの構造や打上げの仕組みのほか、営業から設計、製造などさまざまな仕事を担う社員が関わって打上げが行われていることを説明すると、真剣に聞き入ってくれました。この機会に、多くの人の力を結集してプロジェクトを実現することの面白さを感じていただけたのなら嬉しく思います。’
※引用:三菱重工 品川区立清水台小学校の職業紹介授業に参加しました(2018.2)

この授業を聴いた子供たちは「仕事ってこういうものなんだ」とその概念を理解し、自分が興味がある仕事はどうなのかを知りたくなって、その仕事に就くにはどうすればよいかを自発的に調べることになるのでしょう。それと、三菱重工の社員さん、うれしかっただろうな。

2003年に「13歳のハローワーク」(村上龍さん)という本が出版され、当時、話題になりました。その後、内容を改訂・追加した版が出されたり、現在はWEBサイトもあって、情報活用のリテラシーが高い子供にとっては随分と「職業選択」に関する状況がよくなっています。けれど、「生の職業人」と触れ合えるという出会いに勝るものはないものと思います。

昔だって、きちんと自分の人生を考えていた人は、①自分は何をしたいのか/何が好きなのか ②そのためには何という職業に就かねばならないのか ③そのためにはどんな勉強や資格が必要なのか ④そのためには「今」何をすべきなのか なんて、きちんと行動に落とし込み、それを実現してきたのです。

これは「なれるものになった」というだけの「成り行き人生」とは随分と違う景色をみることができたことでしょう。私なぞ反省しきりです。けれど「成り行き人生」で見てきた景色は「立派な人生」を送ってきた人には見えなかった訳で、今となってはどうでもいい様にも思いますが。(それがダメなんダヨ)

それで、退職後、再就職を考えるオジサン/オバサンにもこういう「職業紹介授業」があるとよいなぁと思う訳です。おそらく現実的に「就業できる職業」というのは極めて数が限られると思います。まぁ、自由な世の中ですし、幾つからでも何にでもなれるとも言えますが、そんな「立派なレアケース」を紹介されても、誰も関心がありません。きっと教室には閑古鳥が鳴きまくっているのです。「ムリー、ムリー」ってね。

求人サイトだとか、「シニア向け合同就職説明会」と何が違うのか? と言われれば、「大違いです」と答えます。今のご時世、採用側からの情報に「ウソ」はありません。これは100%信じてよいことです。それじゃ、何が足りないかと言えば、「実際にその立場で働いている人」の表情だったり、満足感だったりするのです。

シニアからの再就職、みんな、そんな大それたものを仕事に望んでいる訳ではないのです。夢を叶えるだとか、高額な給与とかね。それよりも「無理なく、きちんと自分の仕事をすることができるか」ということを知りたいのです。いい笑顔で仕事を語る人がいる職場、知りたいのはそこなのです。まぁ、同じ仕事でもそれぞれの現場によって「天国」もあれば「地獄」もあるので、そこは「運」次第となりますが。結局は「人間関係」ということになっちゃうのかな。

それから、「お金」に関する授業も「子供の頃」から、聞ければよかったのにと思うのです。昔は「無駄遣いするな」「きちんと貯めておけ」というだけでしたから。お金があるということはそれだけ「選択肢」も増えるということですしね。

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