2021年3月末に早期退職をしてから、これまで約9ヶ月が経過しました。週に3日(2日のときもある)は働いているとは言え、週の半分以上は家にいる暮らしを続けていますが、正直なところ、まったく違和感もなく、退屈もしていないのです。よく「定年後はやることがなく、家に居場所がない」といった「あるある」の話を見聞きしますが、私の場合は睡眠時間を削っていろいろなことをしている始末です。まぁ、世の中のため、人のためになる様なことはあまりしていないので、まったく褒められたものではありませんが、誰かに迷惑も掛けていないので、神様に見逃してもらっているのです。
そんなに付き合いがある訳ではないのですが、近所の方々は平日の昼間に家の周りや、街の中をぷらぷらしている私に「何と声を掛けたらよいのだろうか」「定年時期が延びたと聞いているのに、あそこのオジサンは何故平日の真昼間に呑気に過ごしているのだろうか」「リストラされたのでは…」などと思案している節があり、皆、一様に軽く会釈をするだけで、会話がそれ以上に発展しないのです。以前は休日や、出勤時間に出会うと何となく世間話をしたものですが、淋しい限りです。もしかしたら、私が何かをしでかしたのではと胸に手を当てて考えますが、そんなことはありません。
平日の街を歩いていると、今までは気付かなかったことにいろいろと気付きます。
先ずは、とにかく老人だらけであることに驚かされます。私も立派にそのメンバーの一人ですが、至るところに老人がいて、「老人と海」ではなく、「老人の海」が眼前に広がっています。少子高齢化を正に実感させられます。そして、銀行のATMにせよ、スーパーのレジにせよ、老人の所作にはとても時間が掛かります。最初は少しイラっとしましたが、今ではそんなこともなくなりました。きっと、私にしても若い人たちから見れば「じじい、もたもたすんなよ」などと、心の中で舌打ちされているに違いありません。
次いで、この国は本当に景気が悪いのかと思うのです。スーパーに行けば、どんな時間でもレジには長蛇の列です。最近は利用者がまだ少ない様子で空いているセルフレジを使うので、私はこの列に並ばなくてもよいのですが、皆、辛抱強く自分の会計の順番を待っています。まぁ、この列も老人だらけですが。また、スーパーでは、多くの人が支払い方法にクレジットカードを使うことにも驚きました。私は現金での支払いがメインで、時折SUICAを使うくらいなので、噂には聞いていた「支払いはすべてクレジットカードで」という人が既に多数派となっていたことを最近知りました。
それから、宅配便のトラックの多さにも驚きます。大手のトラックから、小さな軽自動車まで、常に宅配便のトラックが視界に入るのです。そして、車に積まれた荷物をちらりと見ると、そのamazon率の高さたるや驚愕してしまうのです。我が家も支出の多くをamazonに貢いでいるので、何も言うことはないのですが、最早、インターネットに接続ができて、amazonの商品が配達される地域であれば、どこでも暮らしていけるに違いありません。
平日の街を歩くと、リュックサックを背負い、一人で、つまらなそうに、どこに行くとは無しに彷徨っている年老いた男性の姿も数多く見かけます。 余計なお世話ですが 、実際の背景などは分からないままに、みんな家にいて、暖かく過ごしていればいいのになと私は思うのです。他人から見れば、街をぷらぷらと歩いている私もまた、そんな風に見えているのでしょうね。
用事を済ませたら、何か楽しいもの、美味しいお菓子や果物、そんなものを少しだけ買って、私は家に帰ります。近所の和菓子屋さんの「栗の入った最中」が最近のマイブームです。