「どうも最近、眠れないんです…」総合病院で私が医師に涙ながらに訴えると先生は言います。「そうですね、それでは脳のCT検査をしましょう」「何でもします、しいたけも食べます」
それからしばらくしてから再び病院を訪ねると、先生はデジタル化されたCT画像をPCのモニタに出力し、私に見せてくれるのです。「はっきりと映っていますね、あなたは『このこと』が頭にこびりついて離れなくなっていて、それが毒になって全身に回ってしまったのです」
モニタに映し出された私の脳のCT画像にはくっきりと「いつまで働くのか」という文字が浮かび上がっていたのです。ね、どんなホラーよりも怖いでしょ。

中高年が何回、何十回としてきた算数があります。とてもシンプルな計算です。それは死ぬまでに幾らのお金が必要で、現在保有する金融資産+年金受給はその金額を上回っているのか。上回っていない場合には幾ら足りないのか。不足分を補うだけの売却可能な資産(不動産、レアなベースボールカード、ビンテージの時計など)は有るのか。不労収入(家賃収入、著作権/特許収入)が見込めるのか。金持ちの親戚がいて相続のあてがあるのか。暖かい家族が老後の面倒をみてくれるのか。ペットのyoutube動画がバズって「ポチ」や「たま」にすがることができるのか。 ここまで頑張っても「不足」が補えない場合、私たちは最低でも不足分を上回る収入を労働を通じて得るしかありません。それが「いくつまで働くか」の答えです。

すごくスッキリしたでしょ。そうなんです、このエントリの正しいタイトルは「いくつまで働かねばならないか」なのです。私が早期退職した後もいろいろと悩みつつも(少しだけど)働いているのは、「お金が不足している」からなのです。決して、社会との接点を保ちたいとか、健康のためとかいった理由からではないのです。ここまで開き直ると爽やかな感じがするでしょ。えっ、傍目に見ていても恥ずかしい? 安達祐実曰く「同情するならカネをくれ」

まぁ、この算数におけるパラメータは「自分と家族はいくつまで生きるか」と「どのくらいのお金を使うか」という2点だけなのです。私の場合、前者を「90歳」とおいていることが、不足を生んでいる最大の理由なのですが、家系的に長命を考えざるを得ないことが「不足」をこじらせているのです。カミさんにもその位までは頑張ってもらわないと困るのです。楽して長生きはさせてもらえないということです。
「どのくらいのお金を使うか」については、「無理な倹約はできない!」というのが私の中での「決め」です。「無理をすると必ずその反動が来る」 流石に何回もの失敗を経て、私もこのことに気が付いたのです。10円をケチって、amazonで1万円の無駄遣いをするということですね。反省ザルだよ、本当に。

みんなが電卓片手に、もしくはExcelの画面を眺めながら、算数をして、「いくつまで働かなければならないか」の結論を出したと思われる?アンケート結果を見てみましょう。
このアンケートの素晴らしいところは「調査実施時点で就業している60~64歳の男女200人と、65~69歳の男女200人の計400人」を調査対象としているところなのです。50代や40代の若造に聞いたところで、きっと「いい加減な答え」しか返ってこないのです。だって、まだきちんと算数をしていないのですから。
※出典:アデコグループ 「働くシニアの意識とシニアの雇用をテーマにしたアンケート調査」(2019.12)

<いま働いている理由は何ですか> ※単一回答
1位 現在の生活のためにお金が必要だから(51.3%)、2位 老後の資金のために貯蓄が必要だから(16%)、3位 社会と関わっていたいから(14.3%)

<何歳まで働きたいと思いますか>
♪60歳~64歳 ※n=200 単一回答
●65歳(38.5%) ●70歳(36%) ●75歳(4%) ●可能な限り(14.5%) ●条件が整えばすぐにでも辞めたい(6.5%)
♪65歳~69歳 ※n=200 単一回答
●70歳(39%) ●75歳(24.5%) ●可能な限り(28%) ●条件が整えばすぐにでも辞めたい(7%)

このアンケート、かなり「実際の姿」を表している様に思います。そんなにみんな「豊かな老後」「悠々自適の老後」なんて迎えられないのです。そして、「何歳まで働きたいと思いますか」という質問では「結局、いつまでも働かなければならない」という衝撃の事実を見てしまった様に思うのです。どんどん「働いていたい年齢」が後ろにスライドしていく。
そんな中、「条件が整えばすぐにでも辞めたい」という余りに率直な回答に胸を打たれます。きっと「辛い」のです。そして、もう働くことにうんざりしているのです。「条件が整う」様に神さま何とかしてくれませんかね。

「いくつまで働かなければならないか」の算数をする際には、実はもう一つパラメータがあります。それは「『非常用資金』」をいくらとみておくか」ということです。年寄りですから、病気になったり、思いもかけず「ポックリ」行ってしまったときに、私の場合は、やはり年老いているカミさんと愛猫のおーちゃんが困らない様にしないといけないのです。まぁ、こればっかりは残ったら残ったで、誰も困らないのです。

「いくつまで働かなければならないか」というのは、60歳で定年を迎えることになるたくさんのサラリーマンと、既に定年を迎えたり、早期退職をした人たちにとって、最大の関心事なのだと思います。また、何回かこのブログでいろんな角度から掘ってみたいと思います。

掘り過ぎてしまい、地球の裏側にあるブラジルのシニアの就労状況について延々とエントリを書いてしまうかも知れません。その日のためにポルトガル語の勉強を始めねばなりません。
Adeus amigo!

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