昔ほどの賑わいはない「少し錆びれた観光地」に少しダンディなオジさんが一人で来ている。ホテルのチェックインの際にフロントの人が「おひとりでご一泊でよろしいでしょうか」と事務的な確認をすると、「25年前の忘れ物を探しにね」などと妙な答えがオジさんから返ってくる。忘れ物を探すなら、警察に行った方がいいと思うぞ。

子供の頃からいろいろなものを失くしてきました。「正義」とか「信じる心」とかいうのは別としても、どこかに忘れてきたとか、落としてしまったとか、大事なもの程、無くなってしまいます。

学生の頃に、定期やらお金やら何やら満載の財布を落としたことがあり、警察に届けても見つかりませんでした。それが、数か月した後、突然に家から500mほど離れたところにあるタバコ屋さんから、「お店の前に財布が落ちていて、あんたの連絡先があったから電話した」という連絡が入ったのです。お店に行くと紛れもなく数か月前に失くした私の財布です。中身を確かめると現金も何もかもが「そのまんま」です。お礼を言って、受け取りましたが、ちょっと不気味な結末でした。良い人に拾ってもらえたのか否か、よく分かりません。

さて、落とし物の実態を二つの調査レポートから明らかにします! 一つは2020年の「MAMORIO株式会社」のもの、もう一つは内閣府が行った「遺失物に関する世論調査」(2016年)です。
※出典:MAMORIO株式会社 落とし物に対する意識調査アンケート(2020.12)
※出典:内閣府政府広報室 「遺失物に関する世論調査」の概要(平成28年12月)

Q:何を落としたのか、紛失したのか(MAMORIO株式会社調査)
A:1位 鍵、2位 財布、3位 スマホ、4位 腕時計、5位 電子機器
まぁ、何を失くして困るかと言えば、ダントツでスマホとパソコンです。個人持ちのスマホを失くしても後始末を考えて気絶しそうになりますが、会社貸与のスマホやパソコンなんかを失くした日には2ヶ月くらいは本人も上司も仕事になりません。同じことでいろんな人に繰り返し怒られます。しかも、一切の弁解もなし。周囲で見ていても辛くなります。
私も首にぶら下げるか、紛失防止の仕掛け(紛失防止タグなど)を真剣に考えようかと思っています。何だか肩が凝りそうです。

Q:傘、衣類、ハンカチなど、値段が安くて大量に流通している物を落とした場合、どのような方法で探すと思いますか(内閣府調査)
A:1位 心当たりのあるお店、駅などがある場合、その施設に問い合わせる(50.4%)、2位 特に探さないであきらめる(49.6%)
私としては、結構に意外な回答でした。これって、何か特別な由縁でもない限り、「探さないであきらめる」が私の一択なので。ちなみに「値段が安くて」の線引きに興味がありますが、私的には「5,000円」ですかね。
ちなみに昔、カミさんがバレンタインのプレゼント(?)でくれたマフラーを出張先で乗ったタクシーの中に忘れてしまい、降車時にもらったレシートを頼りにこれを着払いで返送してもらえる様に頼んだことがありました。これ、「いい話」として、感激させようとして、カミさんに話したところ、「大して高いものじゃなかったから、お金がもったいなかったわね」などと瞬殺されたことがあります。そうか、大して高いものじゃなかったんだ…

Q:あなたは報労金の制度について知っていましたか(内閣府調査)
A:1位 報労金の制度、金額の割合について知っていた(45.0%)、2位 報労金の制度があることは知っていたが、金額の割合については知らなかった(41.7%)、3位 報労金の制度があることを知らなかった(12.5%)
さて、質問です。報労金の金額の割合って、知ってました? 答えは、5%~20%までの範囲なのです。落とし主は、拾得者に対して、5%から20%までの範囲で、報労金を支払わなければならないということです。拾った1万円を届けて、落とし主が現れると、500円~2,000円の範囲で報労金がもらえることになります。
ちなみに、警察による3ヶ月の拾得物の保管期間を過ぎると全額拾得者のものになります。(所有権の移転) これ、報労金の権利と所有権の権利という二つの権利があったんですね。知らなかった。だから、権利の放棄といっても「両方」「どちらか一方」「放棄しない」というバリエーションがあった訳です。
尚、報労金も所有権が移転してまるっともらえるケースもどちらも「一時金」として課税対象です。でも、大丈夫! 50万円までは特別控除の対象です。それに、そんなに貰えたら、少しぐらい税金を払ってもいいでしょ。

何だか、随分とこのエントリを書いていて勉強になってしまいました。というか、あんた、いい年して、モノ知らなすぎでしょ。

昔、まだ小学校にも上がっていない頃、家の近くで「鍵」を拾って、交番に届けたことがありました。相対してくれた警察官の方に「どうもありがとう、これは車のカギかな、きっと困っている人がいるんだよ」って丁寧に対応をしてもらいました。何だかとても誇らしい気持ちになったことを、今でもはっきりと覚えています。
あの日の鍵は失くした人に届いたかしら。

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