今さら体によいものを食べても完全に手遅れです。幼少期のハムカツ好きが、今の私のだらしないボディラインの原点なのです。あぁ、あの頃、オーガニックなサラダをドレッシングなしで食べていれば、こんなことには… ウサギじゃないんだから、そんなもの食べないよ。
今の中高年が子供の頃には「食育」なんて言葉はまだなかったのです。別のエントリでも書きましたが、まだ、この国はそれ程に裕福ではなく、栄養よりも、美容よりも、アンチエージングよりも、ダイエットよりも、何よりも「うまいものでお腹をいっぱいにする」のが食事の第一要件だったのです。
『食育』という言葉は石塚左玄さんという明治時代のお医者さんが作った言葉だそうですが、私たちが盛んにこの言葉を使い始めたのは、「平成17年に食育基本法が、平成18年に食育推進基本計画が制定され、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいく」と国がその御旗を振った以降かと思います。
それ以前にも「意識が高い系」の先駆けみたいな人たちがいて、きっとそんなことを言っていたのでしょうが、ファーストフードに夢中だった私たちの耳には届かなったのです。
つまり、平成17年には立派な大人どころか、既におじさん/おばさんとして暴れていた今の中高年は食育に乗り遅れた訳です。よく言うじゃないですか、今の高齢者は体に負担を掛けない日本的な食事で育ってきたので長生きをする、今の若者はきちんと食育ができているので長生きをする。それで… 何でも今の中高年は「体に悪いもので大きくなった」ので、これから、いろんな障害が体に現れてくるらしいと。その実証実験を私たちが自ら行っている訳です。
この文脈で「肥満細胞」なんて言葉も「みんな知ったかぶり」で使います。勿論、このエントリでも「知ったかぶり」で私は書くのです。(しっかりと知りたい人はきちんと調べてね)
シンプルに言えば、脂肪細胞の数が多ければ多いほど太りやすくなります。そして、その脂肪細胞が多いというのは「体質」の問題で、1才までの食事環境により、肥満になるかどうかが決まってしまいます。乳児期に脂肪細胞数を増やしすぎると、その後に「太りやすく痩せにくい」体質が作られてしまうのだそうです。子どもの肥満の原因は「夜更かし」「偏った食事」「慢性的な運動不足」で、親による注意が必要。
※出典:1歳までが大事!「子どもの肥満」を防ぐには…
しまった、勝負は1歳までに決していたのか。こんなことを親も本人も知らなかったから、乳幼児から幼少期、そして、学校に通って、働く様になって、今に至るまで、好きなだけ夜更かしして、インスタント食品やファーストフードを食べては、運動も大してせずにごろごろしてしまいました。けれど、例え成人病になっても、幸せだったので甘んじて受け入れます。既にメタボで、高血圧症で薬をいっぱい飲んでるけどね。
今の子供たちは「モノ知りで舌の肥えた家族」から、いろんな種類の料理を栄養やカロリーを気にしてもらいながら、食べさせてもらっているのだと思います。本当に幸せなことです。
一方で今の中高年の親の世代はまだ「外食」なんて、それほど行ったこともなく、今の様なレシピサイトもなく、祖父母から教わった料理を中心にして、それでも懸命に子供においしいものを作ってくれていたのです。思えば本当に頭が下がるし、何よりも美味しい食事でした。
そうです。今の中高年は何を食べてきたのか、答えは家族が作ってくれた食事なのです。
日清オイリオグループの「生活科学研究グループ」が、50代~70代の男女を対象に2016年に行った食に関する調査の項目に「好きな夕食メニュ」があります。その回答は次のとおりです。
※出典:日清オイリオ生活科学研究レポート No.34 ’16 ミドル・シニアの食生活(pdf:432KB)
<50代:男性>
1位_カレーライス 30% 2位_焼き肉 26% 3位_刺し身 21% 4位_焼き魚 20% 5位_ハンバーグ 15%
<50代:女性>
1位_カレーライス 27% 2位_焼き魚 17% 3位_刺し身/焼き肉 15% 5位_ハンバーグ 14%
<60代:男性>
1位_刺し身 27 2位_カレーライス 23% 3位_焼き魚 19% 4位_煮魚/野菜炒め・肉野菜炒め 13%
<60代:女性>
1位_焼き魚 22% 2位_刺し身 20% 3位_焼き肉 15% 4位_カレーライス 12% 5位_サラダ 9%
結局、子供の頃、そして、自分たちが子供たちを育てた時間の中で食べてきた「カレーライス」やら、ホットプレートでの「焼肉」といったものが、中高年はいくつになっても食べたいのです。
早期退職をして、ほとんど家で食事をする様になって、改めて「家のご飯はおいしいな」と思うのです。たまに私が作るメニュを、カミさんがどう思っているかは分かりませんが。