子供の頃、ぼんやりとした記憶しかないけれど、確かハミガキは「粉」をブラシに乗っけて、というか、まぶしてやっていたのです。今でも「歯磨き粉」なんて、習慣的に言っちゃいますけどね。それがいつの間にかチューブとなり、子供向けにはバナナ味なんてものがあって、それを使っていたこともありました。
今はドラッグストアで適当なものを買って使っているのですが、大体チューブ一本で、何回くらいハミガキができるのだろうと思ったのです。丁度、それまで使っていたものが終わったので。それで、ググったら、大体150回程度(150gチューブ)らしいことが分りました。
私の場合は、かなり多めにペーストを乗せるのが好きなので、おおよそ100回程度。1日に2回使うとすると、大体1ヶ月半程度で使い終わることになります。結構に早く1本が使い終わってしまうので、カミさんが間違って私のチューブを使っている、愛猫が密かにハミガキをしているなどと考えたのですが、邪推であることが分りました。疑って、ごめんねごめんねー。
さて、世の中が「悪い方向」に向かってスパイラルを描いている様に思うことがあります。時代の空気みたいなものを感じて、みんな楽天的ではいられなくなる。高額なものを買ったり、多額のローンを組んで大きな買物(家、車など)をしたりしなくなる。こういう「贅沢」なものだけでなく、日々の消費もできるだけ控える様になる。
社会全体が「多様性」を許す様になって、「風習」「しきたり」みたいなものへの出費が不要になる。例えば、葬式や結婚式など。ここしばらく大きな葬式なんて、行くことがありません。昔は「葬儀の案内」みたいなものが結構に来ていましたが、今は結構に近しい人が亡くなっても、年末の「喪中」のハガキではじめて知ったりします。これすらも「年賀状じまい」後では来ないことになります。葬儀を出す方も、参列する方も出費をしなくなる。
例えばオフィスに行くにもスーツである必要がなくなる。一時期は「オフィスカジュアル」なんて言っていましたが、それすらも今では無くなって、完全自由が当たりまえになってきました。当然に、スーツやコート、シャツ、ネクタイ、革靴なんてものに使っていたお金が不要になる。それどころか、在宅勤務が常態化して、出勤すらしない。
それで、こんな風に今まで使っていたお金を使わなくなって、別の使い道が生まれたかと言えば、一部は物価の値上がりに吸収されて、残りは貯金や投資に向けられる。みんな、心配しているのですよ。これから先、世界が「どんどん悪くなる」って。それで、最後は頼れるのは自分だけだってね。
消費が停滞することだけを見て、世の中が「悪い方向」に向かっているというのは短絡的な見方かも知れませんが、消費行動は人々が日々考えていることの分かり易いoutputだと思うのです。少子高齢化だったり、かつては栄華を誇っていた大企業の経営が傾いているなんていう「これまでの価値観を揺るがす様なニュース」に連日接したら、誰だって、「世の中、悪くなりそうだなぁ」と思うことでしょう。
それで、私、思うんですよ。こういった流れというのは、しばらくの間はガタガタと揺れ動いて、もっと重苦しい深刻さが世の中に蔓延して、けれど、結局は或る時に「それなり」の形でおさまるだろうって。そして、新しい価値観を手に入れて、その後は普通に、したたかに生きていく。今は社会がまた大きく変化する「途中」ということなのでしょう。
だから、悲観し過ぎるあまり、遠くばかりを見て、今を犠牲にしたり、子賢く&小狡く振る舞って時代や誰かを「出し抜こう」なんてしなくても大丈夫だと思うのです。それに、船が沈む時はみんな一緒ですからね。
通勤の満員電車に乗り込むと「こんなに沢山乗れないよ、無理だよ、地獄だよ」なんて最初は思うのですが、いざ電車が走り出して、何回か車両が揺れたりすると、何となく上手く隙間が調整されて「おさまって」しまう。そんな感じです。それに、元々、ニンゲンは「悪い話」が大好きで、自ら奈落に落ちて行ってしまう性癖があるのです。困った生き物です。
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まったく使っていなかったノートパソコンがあって、後は廃棄を待つばかりだったのですが、最後に気楽な余生を送らせてあげたいと思い、ChromeOS Flexをインストールしてみました。結果は随分古いPCにも関わらず、サクサクと動きます。それで、急遽リビング常設のPCという役割を担わせることにしたのです。
それ以来、結構に忙しく働いてくれていて、何だか、老後の再就職をする人たち、そして自分を重ね合わせてしまうのです。まだまだ若い者には負けないよ!なんて声が、ノートパソコンの小さなスピーカーから、微かに聞こえた様な気がしました。