会社の近くに「移住」に関する情報施設があるのですが、これまで一度も入ったことがありませんでした。理由はもはや「移住」を考えるには年寄り過ぎて、正直、関心が湧かなかったのです。
それが今日、ランチを食べた後に少し散歩をしようと意気込んでいたのですが、寒さに負けて、どこか暖かいところでぬくぬくすべく、この施設の中に入ってみることにしました。
とてもキレイで、情報も充実していて、本気で「住む場所を探したい」という人には役に立つところでした。日本国内、北から南まで全都道府県にある市町村が発行する「移住歓迎!」のパンフレット、小冊子が整然と並べてられていて、圧倒されてしまいました。
ただ住むだけでなく、仕事の紹介までしてくれるみたいですし。私など、ぷらぷらと施設の中を歩いていたら、職員の方に「農業を始めることもできますよ」なんて、声を掛けていただきました。
そうですよね、どうみても60過ぎの年寄りを歓迎する地元企業なんてないですから。そうなると、こいつにできるのは「農業ごっこくらい」というのは正しい見立てです。有難いお申し出だったのですが、丁重に説明をお断りしました。
美麗なパンフレットには、どこも例外なく「よいところ」であることがアピールされているのですが、そんなに「よいところ」であれば、何故、移住者を募らなければならないのかが疑問です。きっと、住んでみなければ分からないことが、どの土地にもあることでしょう。
私は思いっきり「一ヶ所定住型」の人間で、一度も転勤をしたこともなく、今住んでいる街で生涯の凡そ59/61を過ごしてきました。それ故に、別のところで暮らすというイメージがまったく湧かないのです。
近所のお店で、幾らでも新鮮で美味しい食材も手に入るし、東京といっても外れの方なので「緑」も「自然」もあります。それに何よりも、近所に迷惑な人も、面倒な人もおらず、とにかく周辺を知り尽くしていて、リラックスできます。(もしかすると自分が面倒な人かも知れませんが)
結局は「住めば都」というのは真実なのでしょう。きっと私が住んでいる街よりも素晴らしいところなんて、星の数ほどあるでしょうし、私は「モッタイナイ」人生を過ごしているのかも知れません。けれど、どこで暮らしても本当は大して変わらないのです。
美しい風景と、にこやかに笑う地元の人の写真に溢れた移住歓迎!のパンフレットを眺めながら、「やっぱり、今住んでいる街がいいなぁ」と改めて思ったりしました。人間、特に年寄りというのは、どこでも住める訳ではありませんからね。
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年末年始に読んでいた「海賊とよばれた男」(百田尚樹さん)を今日、読み終えました。面白かった… 明日からは評判の高い海外ミステリを読み始めます。わくわくします。